年齢調査:セリ場のクロマグロ 頭と尾でわかるコト
魚市場と言えばマグロのセリ!
魚市場といえば・・マグロのセリ!と答える方も多いかもしれません。
そんなマグロ。セリ場で青と黄色の目立つ札が見られることが(左:豊洲市場、右:札幌市場)あります。
何のラベル?
「このマグロを解体した方は、水産資源研究所(旧国際水産資源研究所)に送ってください!」というお願いが書かれています。何のために??と気になって電話したところ、実は知り合いでした。
そこで、イロイロ聞いてしまったところ・・・
なんと、頭と尾を調べると、何歳のマグロか、どこで生まれたかがわかり、マグロを守ることにつながるそうです。
体に歴史が刻まれる
木は冬は成長が止まるため年輪が刻まれます。アサリは潮の満ち引きでご飯を食べたり止まったりするため一日ごとに日輪が刻まれます。これと同じことが哺乳類では歯、クジラでは耳垢、クロマグロでは頭の中の石(耳石)や脊椎骨でわかるそうです。
普段は取れたマグロは体重だけ測りますが、調査するマグロは体長も測ります。
写真提供:水産研究・教育機構
そして市場に運ばれ、市場で解体された頭と尾は、毎年何百匹も研究所へ届くそうです。
耳石や骨からわかる年齢
研究所では頭から耳石↓がとられます。2018年の紀伊勝浦産の450kg、274cmのクロマグロは20歳だったそうです。
写真提供:水産研究・教育機構
マグロの耳石は小さく見つけにくく割れやすいので、担当の研究者はしっぽの脊椎骨を染色(色を付ける)して年齢がわかる方法を発見したそうです。
写真提供:水産研究・教育機構
これは144cm57Kgのクロマグロで、調べた結果4歳だったとのこと。
このようにデータを集めていくと、例えば140cm55Kgのクロマグロが取れたら、4歳ぐらいかな?等とわかりますし、大きなマグロが毎年同じ数だけ獲れていれば、獲りすぎて減っているわけではなさそうだと想像できますし、大きいマグロが少なくなって小さいマグロばかりになってくると、獲りすぎているのではないとわかってきます。餌や天候などの影響もあり、単純ではありませんが・・・。
その他、年輪の幅によって、沖縄で春に生まれたクロマグロは早く大きくなり幅が広く、日本海で夏に生まれたクロマグロは幅が狭い等、幅の違いで、どこで生まれたかまでわかるそうです。スゴイ!このような地道な情報の積み重ねが、マグロを守ることにもツナがるのです。
沖縄本島南で確認されたクロマグロの産卵行動
水産庁の漁業調査船「開洋丸」が沖縄本島南方沖で確認したクロマグロの産卵行動です。
養殖場では完全養殖をする養殖場では確認されていましたが、天然クロマグロが広い海の中で、調査船のすぐ近くで観察・記録できたことは素晴らしく、羨ましいですね。
8匹?10匹?のクロマグロが飛び跳ねた様子がわかりますが・・・・なんと、周囲には数百尾のクロマグロが集まっていたそうです。
こんな姿がいつまでも海で繰り広げられるといいですね。
減らないように上手に獲るためにも、調査・研究が必要ですし、残さず食べる事も大事です。
市場のマグロ頭を何百も調査したり、船上での調査も大変そうです。
でもこれが、マグロを守る地球規模の仕事です。カッコイイですね!
提供:水産研究・教育機構
女性も活躍!マグロの研究!
ちなみに、お話を聞いた方は女性で大学院時代からずっとマグロを研究しています。
海に関わりたいけれど漁師さんは大変そう!・・・という方は、「研究」という形で海に関わる方法もあります。
マグロを獲る漁師さん、市場の人、魚屋さんの他にも、皆さんがマグロをずっとおいしく食べられるように、目立たないけれども研究者も頑張っているのです。そんなことも考えながらおいしいマグロを食べてくださいね。
他にもミナミマグロには別のタグがついていて資源管理を行っています「こちらから!」。
おいしいマグロを安心して食べてくださいね!