トンガ火山噴火 津波による漁業被害、魚や魚介類への影響
トンガの火山噴火と津波(潮位上昇)について
2022年日本から8000Kmの距離にある南太平洋のトンガ付近で大規模噴火が発生しました。
日本とトンガ間の津波観測機では津波は確認できませんでしたが、噴火の衝撃波「空振」による急激な気圧変化により、場所によっては1mを超える津波(潮位上昇)が発生しました。
津波(潮位上昇)による日本国内の漁具の被害
「海底に固定された状態での水位の上昇」と、従来の波と異なる「連続的な水の力」の影響により、漁具や魚介類への影響が報告されています。
海の中に船や網、イケスは固定できないため、海底のアンカー(おもり)と浮きにより固定しています。たるみがあると絡まったり他の漁具とぶつかり破損したり、魚が獲れなかったりするため、季節による干満差も含めて漁業者が調整しています。
1mを超える潮位変化が突然生じると、長さの変わらないロープに引っ張られる形で浮きが海面より下に沈み、想定外の浮力が働き、海底のアンカーが抜けたり、網が破ける被害が発生し、その後、漂流や衝突、絡まりなどが発生します。
上記の原因により、鮭の定置網、カキやホタテの養殖イカダ、養殖ワカメ、ノリ、モズクの漁業設備の破損が報告されています。
また、水の力により鮭捕獲用川止め網の倒壊が報告されています。
魚介類の傷や斃死
鹿児島県では養殖用のブリ稚魚の大量死が報告されています。
養殖魚は網で作られたイケスの中で泳いでいます。
津波による急激な流れにより網は寄れて変形して泳ぐスペースが小さくなり、流れに逆らえない魚達は、進行方向の網に押し付けられる状態となり体表が擦れて傷つきます。特に稚魚などは泳ぐスピードもウロコも弱いため死にやすい傾向があります。
死ななくても、ワカメやモズクのように波の力で傷つき出荷できなくなる例も報告されています。
漁船の沈没と破損
漁船も定置網等と同様に海底との距離を調整した状態で港に停めています。今回のように潮位が従来よりも高くなった際に、海面下に船が引きずり込まれて船が沈んでしまう事になります。
津波により船がぶつかり合って破損する例も一部あるようです。
皆様へのお願い
漁具の修理にもお金がかかりますが、その元手は魚介類が売れたお金からです。
水産業に限らず、自然災害などによる被害のニュースを聞いた地域や会社からの製品や魚があったら購入する事で応援して頂けたら幸いです。