水産業って何?

SDGsにつながる海外の取り組み事例 海の豊かさを守ろう!

海外のSDGs事例について

2030年に向けて世界が一緒になって目指しているSDGs(エスディージーズ)。世界で行われている事例を、海や魚に関わる海外の水産業の目線から紹介します。

国連食糧農業機関(FAO)のホームページ「FAO WORKING FOR SDG 14」で紹介されたものを補強して説明していきます。

FAOは、世界中の人が栄養のある安全な食べ物を手に入れて健康的な生活を送ることができる世界を目指しています。われわれ日本の水産関係者が日々営んでいる仕事の多くもすでにSDGsの開発目標につながっているということが分かります。そして、その生業を、今のわれわれの時代だけでなく将来の子供たちのために長く続けられるように責任を持って活動していくことが何によりも重要なことでしょう。

水産業の使命

食品を安定供給する使命を持つ水産業は、「食べ物を確保して供給し続ける」のが仕事です。SDGs14番目の魚のマーク「海の豊かさを守ろう」だけに関係していると考えられがちですが、魚を確保する場所(海の環境)、獲るための道具、獲る人の仕事などを考えていくと、色々な分野に関係します。

海や川があれば、世界中どこにでも水産業があります。水産業があって経済がよくなったり、地域社会が守られたり、仕事があるだけでも、人々が幸せに過ごしていくことにつながります。そのため、「海の豊かさを守ろう」はもちろん、SDGsの17の目標のほぼすべてと関係しています。

魚を食べて、栄養をとる。

 

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東アフリカのソマリア 女性が船を作るための勉強会

アフリカのモロッコ 養殖業(育てる漁業)を進めています。

西アフリカのコートジボワール 女性や子どもの生活を簡単なオーブンが変えました。

南米のペルーで学校給食にアンチョビ(カタクチイワシ)を導入。

南太平洋の島国(SIDS)の漁業は食料と栄養の確保、生活の改善につながります。

フィリピン 台風被害の復興を目指します。

タイ トロール漁船の燃料効率をよくしました。

インドネシア ナポレオンフィッシュ(メガネモチノウオ)の養殖(畜養)にチャレンジします。

南米とカリブ海諸国 混獲を減らします。

コスタリカ 持続可能な小規模漁業のための自主的なガイドラインを実施します。

カーボベルデ 海の可能性を守るルールを一番に考えています。

ジョージア EUへの魚の輸出を増やしています

 

東アフリカのソマリア

 

東アフリカのソマリア 女性が船を作るための勉強会

船を作る女性

紛争が終わったばかりのこの地域で、漁業を始める事はソマリアの人の十分な栄養と、食べ物の確保のためにとても重要ですが、魚を獲るための船がありません。漁師さんが安全に魚を獲るために、より良い、より安全な船を作る勉強会に女性が選ばれて船を作っています。

1 貧困をなくそう

2 飢餓をゼロに

5 ジェンダー平等を実現しよう

8 働きがいも経済成長も

14 海の豊かさを守ろう

 

 

アフリカのモロッコ

 

アフリカのモロッコ 養殖業(育てる漁業)を進めています。

漁港を出る準備をしているモロッコの漁師さん

昔から漁業が盛んでアフリカ最大の漁業生産国であるモロッコは、天然資源だけに頼らないようにするために養殖に力を入れています。

養殖のいい点は・・・・

・気候変動等の影響を受けにくい

・食料である魚を安定供給できる

・健康的な食事で人々の栄養を満たせる

・貿易で海外に魚を売ることができる

経済的、社会的、環境的に持続可能な方法である養殖業を広めて、貧しい人々の生活水準がよくなることにつながります。

1 貧困をなくそう

2 飢餓をゼロに

3 すべての人に健康と福祉を

8 働きがいも経済成長も

14 海の豊かさを守ろう 

17 パートナーシップで目標を達成しよう

 

 

 

西アフリカのコートジボワール

 西アフリカのコートジボワール 女性や子どもの生活を簡単なオーブンが変えました。

燻製を作る様子(上:昔、下:最近)

アフリカ西部では、腐りやすい魚の水分を落として美味しく、保存しやすくできるので魚の燻製の人気が高いのですが、昔の作り方では煙が多く、作る女性と子どもたちの肺やのどの健康に悪いうえに、燃やすための「まき」も必要なので木も切られて砂漠化も進んでしまいます。

新型の燻製機は多くの「まき」がいらないので木を沢山切らなくてもよく、煙も出にくい仕組みで健康に悪くなく、燻製品の質も良くなり、より高い値段で売れるようになりました。子どもたちも、「まき」集めをしなくていいので文字を勉強する時間ができました。

特別でなく簡単な機械ですが、燻製をつくる人の生活と収入、健康面、教育面が良くなりました。

1 貧困をなくそう

2 飢餓をゼロに

3 すべての人に健康と福祉を

5 ジェンダー平等を実現しよう

8 働きがいも経済成長も

14 海の豊かさを守ろう 

17 パートナーシップで目標を達成しよう

 

 

南米のペルー

 

南米のペルーで学校給食にアンチョビ(カタクチイワシ)を導入。

アンチョビのフライ

アンチョビ(カタクチイワシ)が世界で一番多く獲れるのはペルーですが、大量に獲られた魚のほとんどは、肥料や餌料用の魚粉と魚油(EPA等の原料)になっています。一般的にアンチョビは安い魚として見られますが、タンパク質とオメガ3脂肪酸が豊富で、とても栄養がある魚です。そこで、学校給食のテストプログラムとして、ペルーの小学生が直接魚として食べることとしました。

小さな魚からの大きな健康と栄養が期待されます。

1 貧困をなくそう

2 飢餓をゼロに

3 すべての人に健康と福祉を

12 つくる責任、つかう責任

14 海の豊かさを守ろう 

 

 

南太平洋の島国(SIDS)

 

南太平洋の島国(SIDS)の漁業は食料と栄養の確保、生活の改善につながります。

サモアの市場に並ぶマグロ

太平洋の島国では、経済がよくならず、人々の栄養面でも問題が出てきています。島国の漁業では地元で消費される魚がほとんどで、世界の平均よりも魚を食べる量は2~3倍です。そのため、島の近くの魚が獲られ過ぎて少なくなっています。

その対策として、島から少し離れた海域でマグロなどの回遊魚を代わりに獲って食べる事で島の近くの魚を食べずに済むようにすることは解決方法の一つです。

1 貧困をなくそう

2 飢餓をゼロに

3 すべての人に健康と福祉を

8 働きがいも経済成長も

12 つくる責任つかう責任

14 海の豊かさを守ろう 

 

フィリピン

フィリピン 台風被害の復興を目指します。

2013年の台風はフィリピンの約30,000隻の漁船を破壊し、フィリピンの伝統的な木製漁船を作るために必要な木がとれる森林にも大きな被害をもたらしました。そこで、安全で環境にも良い漁船を開発しました。木材を使わずにすむので、森林の回復も早くなると期待されています。

1 貧困をなくそう

2 飢餓をゼロに

8 働きがいも経済成長も

9 産業と技術革新の基盤を作ろう

14 海の豊かさを守ろう

 

 

タイ

 

タイ トロール漁船の燃料効率をよくしました。

タイの漁船

タイでは漁船が使う燃料にはお金がかかり、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの問題があります。 そこで漁船のエンジンを新しくすることで燃料の消費量を減らし、燃料にかかるお金を減らし、温室効果ガスの排出量を削減するのに役立てました。

2 飢餓をゼロに

8 働きがいも経済成長も

13 気候変動に具体的な対策を

14 海の豊かさを守ろう 

 

 

インドネシア

 

インドネシア ナポレオンフィッシュ(メガネモチノウオ)の養殖(畜養)にチャレンジします。

サンゴ礁を泳ぐナポレオンフィッシュです。

絶滅しそうな生き物を守る条約(CITES)では、ナポレオンフィッシュも対象です。

2〜3.5cmの小さなナポレオンフィッシュを獲り、市場で売れる大きさ(600g~1 kg)にまで育てる畜養をしています。 その畜養のいけすの中で大きくした魚を積極的に食べることで、サンゴ礁の自然の中で大きくなったナポレオンフィッシュを保護し、環境に優しいと期待されています。

 

 

南米とカリブ海諸国

 

南米とカリブ海諸国 混獲を減らします。

エビと一緒に混獲された魚

狙った種類以外の魚が獲れる場合があり、混獲と言います。この地域ではエビを獲るために3~15倍の魚が混獲されてしまっています。

漁獲を管理し漁法を改善して混獲を削減し、どうしても獲れてしまう混獲魚は捨てるのではなく食料として利用する他、海の底を破壊しにくい漁法にすることなど持続可能で責任のある漁業を目指し始めています。

2 飢餓をゼロに

8 働きがいも経済成長も

14 海の豊かさを守ろう 

 

コスタリカ

 

◆南米のコスタリカ 持続可能な小規模漁業のための自主的なガイドラインを実施します。

コスタリカの海辺の人々の多くはとても貧しくて、教育も受けられずに、仕事もない状態にあります。そのような人達の仕事となるように小規模な漁業を育成、強化するガイドラインを作って、人権を守り、貧困をなくし、仕事を作り、生活の質の向上につながるように取り組んでいます。

1 貧困をなくそう

2 飢餓をゼロに

5 ジェンダー平等を実現しよう

8 働きがいも経済成長も

9 産業と技術革新の基盤を作ろう

10 人や国の不平等をなくそう

11 住み続けられるまちづくりを

13 気候変動に具体的な対策を

14 海の豊かさを守ろう 

 

カーボベルデ

 

カーボベルデ 海の可能性を守るルールを一番に考えています。

魚を販売する女性達

アフリカの島国のカーボベルデでは、海の可能性を守ることで、海の環境、経済、社会の発展を優先することを国のルールとして定めました。

気候変動の研究、サメの保護、漁師関係の強化、魚の品質の向上、観光での地元水産物の利用、女性グループがレストランやホテルに直接魚を販売する権利、エコツーリズムや島々の観光がしやすくなる船の改善、そして若者のための雇用の創出などが含まれます。

1 貧困をなくそう

2 飢餓をゼロに

5 ジェンダー平等を実現しよう

8 働きがいも経済成長も

9 産業と技術革新の基盤を作ろう

11 住み続けられるまちづくりを

13 気候変動に具体的な対策を

14 海の豊かさを守ろう 

 

ジョージア

ジョージア EUへの魚の輸出を増やしています。

高品質のアンチョビを獲るための巻き網

ジョージアは世界最大の魚の輸入市場であるEUへ魚の直接輸出をすることで国民の収入を増やして生活をよくしたいと考えて、EU輸出のために必要な基準やルールを守るために港、工場、市場のハードとソフトを整えています。

1 貧困をなくそう

2 飢餓をゼロに

8 働きがいも経済成長も

14 海の豊かさを守ろう 

17 パートナーシップで目標を達成しよう

 

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