ゲノム編集とは?
ゲノム編集で魚を養殖する。鯛・トラフグ・ヒラメ
ゲノム編集で肉厚のタイが販売されることに!と聞いて、「いいね!」、「なにそれ?」、「え、怖い!」、「気持ち悪い!」等々、感じ方は人それぞれだと思います。
知らない事が一番の不安につながるので、このページで様々な考え方を紹介しますので、どう感じるか判断してみてください。
早速ですが、↓上がゲノム編集の肉厚なタイ、下が養殖の鯛です。体型が違うのがわかりますね。
出典:京都大学/近畿大学提供
ゲノム編集とは
もともと持っている特徴を変える技術です。
ある特徴と関係した場所のDNAを切る。すると、カサブタで切れた場所がふさがる・治る(これは自然状態と同じ「治る力」にお任せということです)。
治るカサブタの形は様々。丸い形のカサブタを作りたい場合、何回も怪我をさせたら、いつかは丸いカサブタができるだろう!というイメージです。
成長に関係するDNA部分を何回か切っているうちに成長が早くなった!という事です。
今までの品種改良とゲノム編集の違いは?
先ほどのカサブタの例で「人差し指の先に丸いカサブタを作りたい」として考えましょう。
人差し指だけに怪我をさせて丸いカサブタを作ろうとするのがゲノム編集。
遠くからダーツを投げて人差し指の先に丸いカサブタを作ろうとするのが、今までの品種改良、というイメージです。
難しく説明すると・・・今までの品種改良は、交配や化学物質によってDNAの変異を促し、その結果、求める特徴があるものを選ぶ作業で品種改良を行ってきました。この方法ではDNAの関係ない場所が切れて治ったりするため、育ててみないとわからず効率が悪かったのです。一万粒の種を育ててみるなどの気の遠くなるような作業が必要です。
最近は、「DNAのこの部分が太りやすくなる性質を決める場所」等がわかってきたため、ゲノム編集では関係ある場所だけDNAの変異を促すことができるのです。
その結果、数十年かかっている事が数年でできるようになるのです。
結局何がいいの?
・便利な特徴を持たせることができる
一匹から多くお刺身が取れるようになる!速く成長する!DHAがたっぷりの魚!など。
収量が多い作物を作って食料不足に備える。
CO2を吸収しやすい植物を開発して温暖化に歯止めをかける!
・開発時間が短くなる
数年で特定の特徴を持った生物が開発できます。開発というのもなんだか不思議な言い方ですが・・・。
将来的には皆が買うときの値段が安くなったり、より健康にいい魚が手に入るようになるかもしれません。
もしかすると体に良い成分を多く含む魚も開発できて、人の寿命も延びたりするかもしれませんね。
・開発しにくかった海の生き物で、ねらった特徴を持たせることができる
牛、豚、大豆、お米等は陸上で目に見える形でこういう形、味にしたい!ということを選ぶことができましたが、海の生き物は、観察が難しく、網で囲っても台風などで網が破けたり・・・と、とても難しいのです。
何万匹もの魚から選び出して・・となるととても大変。
それが、ある程度狭い場所でも開発ができれば海の生き物もねらった特徴を持たせられます。
・食料危機、気候変動に対応できる可能性
人口はこれからも増え続けます。人口は一年間に7-8000万人ずつ増えています。
人口が増えるとその分食料が必要になるので、食料を確保しなければなりません。
お金持ちの国や人だけがオイシイお肉や高い魚を食べる事ができる世界も、不公平な気がしますね。
不安(注意が必要)なこと
・食べたくない人は?
現在、「天然」と「養殖」が表示をしっかりされていますが、そのように分ける事で食べたくない人は見分けることができ選択できます。
現在巷にあふれている品種改良された食べ物と変わらない技術なので、現在トウモロコシを食べて特に気にしない世の中になっていく気がします。
・自然の中に逃げたらどうなる?
どうなるかわかりません。そのため、鯛の場合は陸上の養殖場だけで育てて、自然の魚と会わないようにします。
可能性として・・ですが、逃げた場合の具体例を考えてみましょう(仮定の話です)
・・・養殖しやすい=成長しやすい魚と考えた場合・・・
成長しやすい事はイイコトに思えますが、自然の中では生き残りにくいかもしれません(どんどん大きくなるよりも、骨を硬くしたりする方が自然の中では生き残りやすいかもしれない)。
成長しやすい魚が海に逃げてしまって、その特徴がその種類の魚に広がってしまうと、「種」全体が弱くなってしまう可能性があります。
例えば冬に栄養を蓄えずに成長に使ってしまい、餓死するとか。
弱って敵に食べられてその特徴を持つ魚たちが淘汰されてしまう可能性もありますが。
何しろ「大丈夫!」と思わずに、念のため、陸上で育てて海と離しておく事や、掃除のときに逃げない工夫をしっかり考える事が必要で、このあたりはしっかりと考えられているようです。
遺伝子組換えとゲノム編集の違いは?
ゲノム編集はもともと持っている特徴を変える技術で、遺伝子組換えはもともと持っていない特徴を外から追加する技術です。
遺伝子組み換え技術で青い色のバラが作られた。花言葉は「夢叶う」
海のプランクトンの光るたんぱく質を導入した光る花。
左側が元の花で、右側が光っている様子。
この他にも、遺伝子組み換えは、害虫が食べるとおなかを壊すたんぱく質(人には害がない)を入れたり、あるウイルスに強いパパイヤにしたり。10年前からハワイから日本に輸入されています。
人が食べて害がない事はもちろん、もちろん環境に影響がない事も確認されています。
その他、疑問があれば「こちら」から連絡頂ければこのページで紹介していきます。
より詳しく知りたい方は・・・
農林水産技術会議のページでゲノム編集技術について詳しい説明があります。「こちら」へどうぞ。
厚生労働省でもゲノム編集技術応用食品について詳しく説明がされているページは「こちら」へ。
正しく知識を知って、何を大事にするか考えて、皆の生活が豊かになるといいですね。