市場等で魚介類が生きたまま運ばれる理由は? 生きたままだと苦痛や痛みを感じないの?

生きたまま調理して罰金や有罪?

世界は広く、国や人によっていろいろな考え方があります。

イタリア:生きている甲殻類(エビやカニ)を氷の上に置いていたことでレストランオーナーが罰金刑

オーストラリア:ロブスターを生きたまま切っていたレストランが有罪判決

イギリス:感覚を持つ生物としてイカやタコが動物福祉法案の保護対象に追加された。

もしも・・・日本で同じルールになったら・・・

アサリなどの貝類は分類上タコイカに近いので、貝の仲間全てが含まれてくる可能性があります。

スーパーのあさりはご自宅では生きたまま茹でてはダメです。どうせなら最初から冷凍アサリにしてしまって、家では茹でるだけになりそうですね。

サザエのつぼ焼き、蛤やホンビノス、ホタテのBBQは、生きたままはとんでもない!やはり冷凍してからですね。

函館の朝市のスルメイカの鮮度抜群目の前で調理するイカソーメンは廃止。冷凍のイカも美味しいのでそれは許せるかな?

いや、でも、一度冷凍するための冷凍庫の電気や作業代で魚介類の値段が高くなるのは仕方がない。

などなど、もしも日本で同じ状態になったらナカナカ大変ですヨ!

でもなぜそんな話になるのでしょうか?

天然か養殖(人の手で育てる)かで「食べ物」を考えてみる!

実は、人が食べる魚介類以外の食べ物で天然のものはほとんどありません。

野草、ジビエ(天然の野生鳥獣)ぐらいでしょうか。

畑で獲れる作物、家畜(牛、豚、鶏)は、人の手で育てられる食べ物で、種類もそこまで多くありません。

海に囲まれた日本は魚達に囲まれて生きてきたため、鮮度を保ったまま魚を生食する世界でも稀な刺身・寿司文化が発達しており、魚介類は豊洲市場では600種類が並びます。

人の手で育てられている食べ物しか知らない人から見ると、「え??日本って、野生の生き物を食べているの?生きたままさばくの?ひどくない??」となります。

逆に、それが当たり前の日本の魚市場から見ると、「誰がなに馬鹿な事言ってんの?」となるわけです。

結論を出すのは難しい気がします。まさに文化の違いで相互理解や多様性の尊重が必要な分野です。

植物も命と考える人は何も食べられなくなりそうです。きっと他にも考え方が違う点があるでしょうが、天然か養殖かという目線で考えると、少しはわかりそうな気にもなれるかもしれません。

日本の市場ではなぜ生きたままの魚介類が見られるか?

マダイ、アオリイカ、ヤリイカ、タコ、ウナギ、ドジョウ、ズワイガニ、セミエビ、スッポン等が生きたまま魚市場で見られます。スーパーでもアサリは生きていますよね。

なぜでしょう?

①皆さんの安全のため

単純ですが、生きていれば鮮度が保たれて食中毒になりにくいです。

②高く売れる

見た目が美味しそう、鮮度がいい、等の理由で、値段は高くなります。

③死んだ瞬間から鮮度が落ちる。見た目が悪くなる。

エビやカニなどは数時間で色が黒くなってしまいます。それを防ぐには冷凍しかありません!

冷凍技術もイイモノですが、値段は半額などになります。

命をかけて冬の海で漁師さんが獲った数万円のタラバガニ。漁師さんもお客さんも生きているカニが欲しいので・・・そのまま運べるように工夫します!

一杯ずつ空気をプクプクして運ぶマツバガニのボックス。

すっごい工夫だと思うのですが。見る人によっては「虐待box」と感じるかもしれませんね。

④職人さんが自分の技術に集中できる

〆た時間がわかって同じ状態の魚介類がいつも手に入ると、寿司職人さんは何日寝かして狙った味にしよう!と考えられます。

実は、日本は市場の仲卸さんが貝も魚も毎日同じ状態のモノを飲食店に提供するように努力しているのです。だからこそ、寿司職人さんが魚介類を受け取った後に自分の仕事に集中でき、寿司文化が発達したのです。

生きたまま互い違いに鯛を入れて運ぶマダイ。

④その他

他にも何か理由がないですか?ちょっと考えてみてください!

エビ(ロブスター)、タコ、イカなどは苦痛を感じるか?

生き物がかわいそうと考える点で、痛みを感じるのではないか?という点があります。

動きや反応で、苦痛や知覚があると判断しようとすると、人によって感じ方や判断基準が変わります。

そよ風に揺られている木を見て、気持ちよさそうと感じるか、何も感じていないと感じるか。

嵐の中で揺れている木を見て、頑張っている木だと感じるか、嵐がひどいと感じるか。

それに近く、「苦痛を感じるか」よりも、「食料」として、「生活」のため、「おいしさ」のため等の優先順位が違う場合は他の理由は二番目・三番目になります。

お客さんが欲しがる、おいしい魚が無かったら、お客さんは他のお店に行ってしまい、お店がつぶれてしまいます。

苦痛?反応?生物が生き残る工夫?

生き物は様々な工夫をして生き残ってきました。

敵が近づいたり触ると、大抵の生き物は逃げようとしますが、戦略として逃げない生き物もいます。

トゲや堅さで身を守る、地面と同じ色になって隠れる、食べられても毒や苦みで仲間は生き残る等、適応してきた生物だけが生き残っています。

また、鋭い牙で噛まれて逃げられない場合は、全身を食べられる前に、蟹のように脚を一本切って逃げる場合があります。ヤモリやトカゲ同様に、本体が生き残ることでその子どもたちが生き残ることになります。

これが「痛い」と感じているかは判断できませんが、いずれにせよ生き残るための工夫による反応です。

植物も、虫が入らないよう、傷をふさぐようにマツヤニが出てきたりします。これは痛いと感じているか・・・・。わかりません。

アサリはずっとツンツンしていると、そのうち開かなくなります。これは恐怖を感じて開かなくなったのか、ただ疲れ果てたのか・・・。

行動だけでなく、客観的な電気信号や細胞間の伝達物質などの研究が必要かもしれませんが・・・そんなコトよりも、もっと単純な大事なコトを大事にする人も多いのではないかと思います。

食べ物は生きるためのバトンです

エビ、タコ、イカに限らず、人は魚、動物、植物の命を頂いて栄養やエネルギーを貰って生きています。

食べるまでにもたくさんの労力がかかっていて、獲った人・育てた人がいて、加工・調理した人がいて、その間に運ぶ人もいて、ようやく皆さんの食卓に食べ物が届きます。

そして、「獲る・育てる・運ぶ・加工する人たち」も、「食料が人に行き渡るため、自分の生活のためなど、人間生活が潤滑に回るように働いています。

そのような人たちの工夫を、尊重しながら、受け取った食材をどう考えるか。何らかの形で感謝することが大事なのではないでしょうか。

簡単にできる事は、食べ物を残さず、ありがたくいただくことです。

その思いを「いただきます・ごちそうさま」と口に出すのも大事なことです。

エビ、イカを楽しもう!

生きていても、生でも、冷凍でも楽しめる

「楽しく学んでおいしく食べよう!」

エビは「こちら」

イカは「こちら」

難しい事は大人に任せて、よい子のみんなは食べ物自体に興味を持って、食を楽しみ人生を豊かにする準備をしましょう!

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