ハクレンをさばく! 中国原産の巨大なレンギョ!
中国から食料として移入されたハクレン。
日本では、一斉に飛び跳ねたり、「大量死」等で有名な少し可哀そうな子たちですが、コイやフナの仲間であり、淡水魚です。
中国では人気の魚であるハクレンは、コクレン、ソウギョ、アオウオと合わせた4種類で中国四大家魚と呼ばれる淡水魚です。
4種合計の生産量は中国の養殖水産物の約半分(年間3000万トン以上)という莫大な生産量。植物プランクトンや水草を食べるため餌が不要なのもここまで養殖されている理由で、食べている量を考えると、人気の高さがわかります。コイやフナ養殖がいかに多いかは「こちら」の図表4-3をどうぞ!
ハクレンをさばく!入手方法?と運搬手段
少々特殊です。茨城県の湖、霞ケ浦の北にある、北浦で漁師さんが定置網から上げているところを声かけて・・・購入?!したそうです。
こいつがいいんじゃない?と、漁師さんがコメの袋に入れてくれて・・・車に乗せて持ち帰って玄関前に置かれた米袋。
「重いから助けて。中身はヒミツ。さばいて。」と言われてNOとは言えず、自宅の体重計で計測したところ12.2Kg。80cmでおなかがデップリしている子でした。
コイやフナの顔をしています。
ハクレンをさばく! 少し大きいだけで、基本は一緒!
水で水草や土を落としながら、さばく時に怪我をしないよう、歯やヒレにトゲが無いかチェックします。
背びれにも、しりびれにもトゲはなさそう。
ボラのような細かな歯でケガしなさそう。手首まで突っ込み、動かないようにしてから首を落としましたが、ツルンと抜けて歯は感じられませんでした。
ヌルヌル感は少な目。さばきやすい!とホッとします。
ウロコを落とす
大きいので、チョット本気を出して出刃包丁でバリバリ落としました。
台所中に飛ばないように、丁寧に片面10分程度。
ヒレを落とす
キッチンバサミでヒレを落とします。
トゲは無いけれど、硬い!ニッパー推奨。
腹を開く
ハサミでチャレンジしようとしましたが、脂肪層が厚く、包丁で。
「アイゴ」のゼンマイのような腸が見え、同じ植物食だな!とわかります。
マグロのセリ場で腹の厚みを見るように。。。まっしろ!腸の周囲にも油が。
腸を取り外すと、卵がたっぷり1kg!詳しくは一番下へ!
卵を取り外すと浮袋が。少し空気が抜けてしまいました。
浮き袋の下の血合いも取るとこんな感じ。
黒皮はピロリと剥けます。
頭を落とす
切れ目を入れて、ねじ切ろうとしましたが・・・
骨が硬くて、大きすぎて無理だったので、ノコギリで切りました。
キハダマグロが釣れた後の船の上を思い出します。解体しないと帰れない!というプレッシャーとは異なり、美しく捌かないと!というプレッシャーです。
ひとまず、頭は、カマと分けて・・・
頭はスープに。ショウガを強めに入れると美味しかったです。中国駐在時代を思い出します。
中国のレストランでは氷の上に頭だけがゴロリと並んでいる事が多く、この顔には見覚えがあります。
三枚に下ろす
サイズに違和感あるかもしれませんが、皮に切れ目を入れたら、背骨まで包丁を入れます。
まな板ごと180°回転させて腹側も同様に。
硬いので包丁は危なかったので、肋骨はキッチンバサミで切りました。
ようやく見慣れた感じに。
淡水魚は泥臭さがあるので、今回は皮を取ることにしましたが、このサイズは皮を引けません。
ある程度の大きさに分けてから皮を引きます。
油は多いけれど、マグロと比べるとサラッとしている感じがします。
食べる!
とてもキレイな断面。
バターでムニエルに。カリッとさせたところが美味しい。
「鯉こく」のように味噌でコトコトと。
長野で食べた時は、もっと濃い色だったので、もっと煮詰めるべきだろうか。
※注意点としては、途中で二股に分かれた骨が混ざっている事。よく噛んでチェックしながら食べないと危険!
大変だったハクレンサバキ。でも、自分で捌かないとわからない事が沢山あります。
ココがすごい!ハクレンの骨
トゲは無かったものの、身を守るために頭の骨が分厚い!
さらに、しりびれ付近にゴロゴロッとした大きな骨が!トゲもあります。
仮に、河で獲物を探すことがあるメジロザメがハクレンを齧ったら・・・歯が欠けそうですね。
ココが面白い!エラの近くの鰓耙(さいは)の発達!
赤いエラで酸素をキャッチしますが、その手前の白い部分が、鰓耙(さいは)です。
鰓耙は、水と固形分を分ける役目、餌をこしとるのですが、ハクレンの主食である細かい植物プランクトンを濾し取るためか、隙間がほとんどありません。すごい!
スズキの鰓耙は、クシのように隙間がしっかりあります。
ヒラメなども隙間からボロボロと砂を落として効率よく餌を食べます。
ココが面白い!ハクレンの産卵方法!
卵は体重の約一割、1Kgありました。
元は中国の長い河で産卵されるので、孵化まで数日かかるそうです。
日本の短い川では、孵化前に海に流れてしまうので海の魚達のエサになり定着しない場所が多く、それなりの長さ・滞留する川として、利根川水系の霞ケ浦・北浦でのみ棲息しているそうです。
ハクレンは土臭さのために、現在は肥料にされることが多いそうですが、上手に味付けする事で食べる事もできるハズ。
現在、スタッフ一同に配布して美味しい料理を考えてもらっていますので・・・お楽しみに!