赤潮 青潮 アオコ 全て、富栄養化でプランクトンが増えて起こります。
水の華とは
特定の種類のプランクトンが大量発生する事で水の色が変わることを「水の華」と呼び、英語では「Bloom:ブルーム」と表現されるように花が咲いたかのような色になることもあります。
赤潮、青潮、アオコなどが具体的な例で、プランクトンの種類によって色は変わります。青、赤、緑色の他に黄色になる場合も。
↑2021年9月 千葉県船橋漁港 青潮
富栄養化 栄養が多すぎる
海も川も多少の栄養が無いと生き物が生活できませんが、栄養が多すぎるとそれを使って特定の生き物が増えます。そして、最初に増える生き物はプランクトンで、日光の当たる水面付近が主な場所です。
人がいなければ山に降った水が、ミネラルと一緒に川を流れてその栄養が海の生き物が利用しますが、人が生活をすると水中の肥料分(チッソやリン)が増えるのです。
その栄養を植物プランクトンが使って増える事で、赤潮などが発生します。
赤潮とは
植物プランクトンが異常発生する事で水の色が赤やオレンジ、茶色に変わることを赤潮と言います。
プランクトン(=魚のえさ)が沢山あるので、喜ばしいように思えますが、大量発生したプランクトンが魚のエラをふさいでしまい、魚が窒息してしまうため、養殖場にとっては怖い現象です。
養殖場によっては、イケスを深く沈める事で赤潮の影響を受けないように工夫している場合もあります。
植物プランクトンは光の当たる深さで光合成して生きているので、それより深い場所では多くないため魚が窒息しないのです。
青潮とは
赤潮などで発生したプランクトンが海底に沈み、バクテリアによってその死骸が分解される時に酸素がつかわれることで酸素が少ない海水の塊ができます。
普通の海であれば潮の流れなどで流されてしまいますが、浚渫により海底に窪みがあったり、潮の流れが少ない湾のような場所では、酸素が少ない海水の塊がたまります。
これが風などで水面に酸素が少ない海水の塊が近づく事で乳白色~青色に変わり、青潮と呼ばれます。
酸素がない水の塊なので、貝や魚などが酸欠で死ぬことがあります。
水面でボラがパクパクと息をしていました。水の中の酸素が足りなくなると水面から酸素を得ようとします。
アオコとは
赤潮と青潮が海で発生するのに対して、アオコは池や沼など、ある程度深さがある淡水で発生します。
栄養が多いためにラン藻やシアノバクテリアと呼ばれる植物プランクトンが大量発生する事で、緑色や青緑色、ライトブルーになります。
浮草により池が緑色に見える場合はアオコとは言いません。
対策
富栄養化を防ぐには?
工場等から出る水は、栄養が多すぎないように川や海に流す前に栄養分を取り除いたり、バクテリアに栄養分を分解させて泥状にして回収することで、海や川が富栄養化しないようにしています。
しかし、栄養がまったくないと生き物が棲むことができなくなります。
きれいな海ではなく、豊かな海へ
排出する水から栄養(窒素やリン)を無くしすぎたことで、最近では、魚やサクラエビの不漁や、ノリの色落ちなどが指摘されています。
そのため、昭和48年(1973年)に決まった瀬戸内法では、一律で水質の排出基準が決められていましたが、令和3年(2021年)に、今までの一律の水質基準ではなく。栄養塩類供給の方法を検討し、将来にわたり多様な「水産資源の確保を目指す」事に決まりました(環境省HPより)。
北海道での赤潮事例(Karenia selliformis カレニア セリフォルミス)
2021年10月に北海道東部太平洋沿岸を中心に広がった赤潮は、ロシア海域から親潮に沿って南下したと考えられます。冷たい海域でも生息できる種類の植物プランクトンで、国内では初めて確認された事例です。
プランクトンは自分では泳げずに流される存在です。
今までに発生していなかったけれども初めて確認されたため、地球温暖化による潮の流れの変化や、今までとは海水温が違うことで、増殖する環境が整ったこと等が原因だと考えられます。
2022年5月時点では「海洋熱波」の影響ではないかと報告されています。
海洋熱波:特定の海域で数日から数年に渡り海面水温が急激に高まる現象で、北海道では平年より5度以上海水温が高くなった場所があったとのことです。
長崎県での赤潮の例 (Karenia mikimotoi カレニア ミキモトイ)
水面近く(5-10m)で増えるので、養殖場の近くで発生した場合、は魚が水面に来ないように餌を停めます。その他、プランクトンがまとまって沈むように「粘土を撒く」などで対策をしています。
大阪湾での赤潮事例 夜光虫(Noctiluca scintillans ノクチルカ シンチランス)
2023年3月大阪湾で夜光虫が発生したことが原因で赤潮が発生しました。
赤潮の代表的な夜光虫は、夜間などに刺激を与えることで光るためその名がついています。