ヒスタミン食中毒 保育園での営業停止例
ヒスタミンとの付き合い方
ヒスタミン食中毒は、低年齢に多い食中毒です。少し怖いイメージがありますが、花粉症の人がかゆくなったりするのも花粉が体内でヒスタミンを作り出すからで、ヒスタミン自体は結構身近な存在でもあります。
魚の他に、発酵食品(味噌、醤油、チーズ、ワイン等)にも含まれるため、それらをすべて避けて生活する事は現実的ではなく、注意したうえでうまく付き合っていくしかない物質です。
各保育園、学校で食中毒を防止するために様々な努力が行われています。
水産加工場、漁業現場でも鮮度が良く安全な食品を届けるための努力、技術の導入が行われています。
表面上を一瞬で吹き抜ける食中毒報道で、「魚は危ない!」と感じる方も多く、報道情報を得たご家庭からのご意見など含めて栄養士の方々の負担は非常に重いと思いますが、家庭での普段の生活でも接する可能性が高い物質です。
このページで報道後の実情も把握して頂き、どうすべきか判断してください。
保育園での食中毒の事例
2020年11月11日には墨田区の保育園でカツオブシ「だしパック」の事例「こちら」
幸いなことに症状は軽度で、カツオブシでは国内で初めての事例で、当日大人も同時に食べていたが発症者は幼児のみでした(発症者の6-7割が14歳以下と低年齢の感受性の高さが特徴です)。
当初営業停止6日処分でしたが、3か月後にその営業停止処分は取り消され、営業停止処分はなかった事になりました(墨田区食品衛生推進会議議事録は「こちら」4ページ、17ページに関連内容。保育園からのお知らせは「こちら」)。
原因は、鰹節と醤油に含まれた微量なヒスタミンが、感受性の高い児童に影響を与えた可能性が高いとの結論で、保育園の瑕疵は認められませんでした。
また、当初報道された「だしパックを煮過ぎたためにヒスタミンが増えた」点は、その後の試験で「だしパックを長時間煮込んでもヒスタミンが溶けだす量は変わらなかった」と確認されています。
2021年10月には武蔵村山市の保育園でサンマの事例「こちら」
口の周りが赤くなるなどの軽い症状に違和感を感じた保育園の先生が気づいたようで、幼児のみの発症です。
保育園が悪いのか?
まず、ヒスタミンは1-4歳の発症が全体の25%を占め、14歳以下で全体の7割を占めるほど、低年齢層に発症が多い事が特徴です。大人と同じものを食べても子供だけが発症する墨田区の事例もその特徴が表れています。
また、加熱済みのカツオブシや、冷凍サンマの状態ではヒスタミンは増えないため、基本的に当日調理が必須である給食現場では常温解凍で長時間放置しない限り、ヒスタミンが増える事は有り得ません。
推測ですが・・・
4歳の息子を保育園にお世話になっている親としての立場も含めた私見のため賛否あると思いますが・・・
たんこぶや擦り傷なども、致命的でなければOK!それより体験!と考えているからか、虫刺されや発疹などは、私よりも保育園の先生の方がしっかり見てくれている自信があり、いつも感謝しています。
カツオブシで全国初事例であるけれど、調理は国内で数十億回行われてきたこと、従来から指摘されているようにヒスタミンによる反応は、家庭でも生じている可能性が高いが報告されていないと推測されている事を考えると、今まで報告されていなかっただけで、子どもの様子をしっかり観察してくれている保育士さんの存在により発見された可能性が高いのではないかと感じます。
そう考えると、食べた後の様子をシッカリ見てもらえる安心な保育園です。
反面、今回の食中毒報道を機に、いつも以上にしっかりと見る保育士さんが増え、アニサキス同様食中毒件数は増える可能性があるのかなと感じています。
営業停止の考え方
墨田区では6日間、武蔵村山では都から4日間の営業停止処分(給食の供給停止)を受けています。
墨田区の例では営業停止は3か月後に取り消されました。武蔵村山市の事例も当日配送後の短時間での調理であること、味噌と一緒に調理した事などから、将来的に同様の形になる可能性があるため注視していきます。
現時点では、営業停止処分になったことで、「保育園に責任がある!」と勘違いして心配になる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。それほど行政処分が与えるイメージは大きいのです。
結局どうすればいいのか?
個人差があるため各家庭の判断となりますが、従来から指摘されているようにヒスタミンによる反応は、家庭でも生じている可能性が高く、現実的に醤油やみそ、魚を無くした生活ができるかと問われれば、しっかり考えたうえで信用できるところから購入した食品とうまく付き合うしかありません。
当然症状の重さ含めて各自の判断が必要ですが、様子を見ながら通常通り食べるぐらいしかないヒスタミン情報でした。
少しでも心配になった方は、人任せにせず、お子さんにご家庭でサンマを食べさせて、症状の有無を確認してみましょう!家ではおなかや背中をしっかり見ても問題になりませんが、保育園だと別の問題が生じる場合もありますので・・・。
○児童の場合のアレルギー検査情報
児童の場合は、保険適用となる場合や助成対象となる場合もあるため、魚アレルギーと判断した症状を医師と相談の上でアレルギー検査を行い、アレルゲンの特定をお勧めします。
未就学児の医療費無償か等、年によって変わる場合もありますが、東京都内の小学生の場合、保険適用の医療行為(過去に魚を食べて蕁麻疹等の症状があった事等を医師に相談するような状態)であれば、通院一回あたり200円程度の負担でアレルギーの検査が行えるようです(東京都:義務教育就学児医療費の助成(マル子は「こちら」から))。
※ケース毎の医師の判断であり、年によって助成の変更もあり、アレルギーへの考え方は家庭での方針も異なるため、参考として頂けましたら幸いです(もちろん魚以外のアレルギーに関しても同様です)。
ヒスタミンの詳しい情報は「こちら」から!