アレルギーとは (食中毒?)を考える
〇アレルギーと食中毒は似ている?
アレルギーは免疫が関係し、食中毒は免疫が関係しません。
しかし、ヒスタミンやアニサキスの分野で、症状と原因の区別が難しく混同されている事が多いため、「食中毒?」として紹介します。
〇ヒスタミン食中毒とアレルギーの混同について
アレルゲンが体内に入ると、免疫により人体内でマスト細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出され、アレルギー反応が出ます。
この場合、アレルギーも、ヒスタミン食中毒と同じヒスタミンが原因となり、見極めができずに混同されている場合もあると考えられています。
〇アレルギーとは
アレルギーは、人によって種類や量による反応が異なり、アナフィラキシーのような重篤なショック症状を引き起こす事もあるため、個人差が非常に大きいため、個人個人が注意をしなければならない分野です。
一般的に食物アレルギーは、体に入ってきた異物を排除する「免疫」が過剰反応してしまう現象をいいます。原因は食べ物に含まれるたんぱく質ですが、どの食べ物でアレルギー反応が起こるかは人それぞれ異なります。特に症例数が多い・重い症状を引き起こしやすい食品が「特定原材料7品目」と定められ、加工食品などへの表示が義務付けられています。次に多いアレルギーは21品目の表示が推奨されています。
〇アレルギーの発症
該当するアレルゲンを体内に取り込むと、ヒスタミンなどの化学物質が人体内で合成され、それによってアレルギー反応が生じます。
アレルギーが発症するかどうか、その量や品目は個人によって異なりますが、全人口の1-2%(乳幼児のみでは10%)が何らかの食物アレルギーを持つと考えられています。一歳の時に食物アレルギーと診断されても、9割程度は小学校入学時頃までに自然に耐性を獲得します。残る約1割程度は、アレルギー反応が残ります。成人した頃に発症した場合は、耐性の獲得はされにくいと考えられています。
→幼少期のアレルギーは、時間の経過とともに改善している可能性があるため、医師の判断のもとで再確認をする選択肢もあります。
また、①正しい診断(医療機関による、食物経口不可試験に基づいた診断。食物アレルギーによる症状と、原因物質に対するIgE抗体が陽性である事の確認)と、②必要最小限の除去(食べると症状が出る食物だけを除去する。少量で反応が出ない場合は、反応が出ない量は食べる事ができる。)も食品の選択の幅を広げる際に重要です。
自己判断の場合、本当は食べる事ができる食品まで避けて食べていることにもつながるため、生活の質が落ちる事につながります。
今回は、魚介類のアレルギー関連について見ていきたいと思います。
○エビ、カニアレルギー
エビやカニに含まれるトロポミオシンというタンパク質が原因となります。
しらす干しの中に、エビやカニの稚魚が含まれる場合がある他、すり身の中には、魚をさばいた際に、胃袋からエビ、カニのエキスが付着している場合があるため、注意喚起記載されり場合があります。
二枚貝の中には、共生しているピンノというカニが含まれる場合もあるため、注意が必要です。
これらの事は、幼少期からアレルギーになっていた人にはある程度知識がありますが、エビカニアレルギーを発症したばかりの人にとっては、特に注意が必要です。
なお、エビとオキアミの形は似ていますが、オキアミはトロポミオシンを含まないため、エビカニアレルギーの人がオキアミを食べても問題ありません。
〇偽アレルギー ヒスタミン
アレルギーは体内で生成されたヒスタミンでしたが、ヒスタミンは鮮度が鮮度が悪い魚の体内で生成される場合もあります。詳しくは「こちら」。
鮮度が悪いことが理由の魚を食べた場合、魚アレルギーでなくても、鮮度が悪い魚に含まれるヒスタミンにより蕁麻疹等が出ることで、魚全てがアレルギーだと勘違いしてしまう例もあります(当然ながら鮮度の良い魚であれば問題ない事になります)。この場合、家庭での判断で、魚は全てダメ、と考えてしまう場合も多いようですが、何が原因かは、お医者さんに相談して原因を細かく特定する事が望ましいでしょう。
〇自己判断で、子どもに魚を食べさせない生活をしないために・・・
「魚」を全て一括りにして食べない生活は、今後の人生にとってかなりの負担となります。また、魚アレルギーと言っても、様々ありますし、小学生ぐらいではアレルギーが無くなる事もよくあるようです。何らかの症状があったために自分で魚アレルギーと判断する事があるかもしれませんが、症状を医師と相談の上でアレルギー検査を行い、アレルゲンの特定をオススメしたいところです。
費用が心配な場合、東京都内の小学生は、保険適用の医療行為(過去に魚を食べて蕁麻疹等の症状があった事等を医師に相談するような状態)であれば、通院一回あたり200円程度の負担でアレルギーの検査が行えるなども参考にどうぞ(東京都:義務教育就学児医療費の助成(マル子))。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/josei/maruko.html
東京都の担当者に問い合わせたところ、都度医師の判断になるとの話だった事、これまた保護者さんの判断と教育方針によるため、詳細知りたい方は調べてみてください。
※魚アレルギーと考えていた例として、鮮度の悪いヒスタミンによる反応だったほか、アニサキスアレルギーであったという例もあります。
〇アニサキスアレルギー
アニサキスによる食中毒がアレルギーであるという研究報告が近年発表されています。
現在14種類のアニサキスアレルギーが研究されており、生きたアニサキス、死んだアニサキスそれぞれでアレルギー症状例があるようです(詳しくは「こちら」)。生きたアニサキスが胃壁に潜っていても痛みを生じていない例も報告されているため、アニサキスによる痛みは食物アレルギーと言われています。一度アニサキス食中毒になった人は、人一倍生食には注意した方がよいため、腕を上げる事も重要です。