アニサキスアレルギーでも食べていい魚介類とは?

アニサキスが絶対にいない魚介類

「人口種苗×陸上養殖」の魚にはアニサキスが入る可能性はゼロです。

陸上養殖で育てられた完全養殖の魚は、アニサキスでアナフィラキシーを生じる方でも安心して食べることができます。

また、症状は無いか軽いけれどアニサキスアレルギーと診断されて、予防原則により、「魚は全て(アニサキスが入っている可能性があるから)食べないように」と医師から指導されてしまい、戸惑っている方は・・・どう考えればいいでしょうか。

命に係わるアナフィラキシーも含む話なので、細かい説明になりますがお付き合いください。

魚がどのように生産・加工されているかを水産業の立場から発信する事で、重度な方の安心と、軽度な方の食の豊かさにつながるハズです。

ツナ缶等はカツオが複数尾混ざっていて、大型のマグロの赤身は内臓から離れています。このように製品や魚種ごとに加工方法も異なるため、「魚」でひとくくりにせず、自分の症状と共に現実的な判断を担当医師と話すことをおススメします。

それが豊かな食生活につながります。

アニサキスアレルギーとは

現在の検査方法では、アニサキス食中毒の経験者は、全員アニサキスアレルギー検査で、陽性と診断されます(アニサキス食中毒の痛みはアレルギー反応による痛みと考えられています「こちら」)。

アレルギーと診断されても、反応が無い人、少し赤くなる程度、アナフィラキシー等、個人差があります。

アニサキスアレルギーになるメカニズム。閾値の考え方

花粉症のように花粉に少しずつ暴露して閾値に少しずつ近づき、閾値を超えた段階で発症、というのがアレルギー発症のパターンです。

アニサキスアレルギーも閾値の考え方は一緒ですが、閾値に少しずつ近づくパターンがある一方で、生きたアニサキスが胃壁に潜り込む(=蜂に刺されるのに近い)ことでダイレクトに体内にアレルゲンが入り、一気に閾値を飛び越えるパターンがあるようです。

一度無症状ながらアニサキスに胃壁に潜り込まれた過去を持つ人が閾値を飛び越えた後に2度目のアニサキスとコンタクトがあった状態でアレルギー反応(アニサキス食中毒)になってしまうという事です。

アレルゲンは14種あり、それぞれに閾値があって、個人差があることが余計わかりにくいです。

いずれにせよ、生きたアニサキスを体内に入れない、ダイレクトに閾値を飛び越えさせない事が重要です。

アニサキスアレルゲンの種類は14種類!

14種類のアレルゲンが知られています「こちら」

生きたアニサキスが出すアレルゲン、死んだアニサキスが関係するアレルゲンで大きく分かれ、さらに熱に強いタイプ(缶詰など加熱されていても壊れず残る)、熱に弱いタイプ(加熱すると無くなるアレルゲン)などがあります。

アニサキスアレルギー検査は14種類のアレルゲンをミックスした状態で行われるため、14種のうちどれか一つでも反応するとアニサキスアレルギーと診断されてしまいます。

例えば、実際は14種のアレルゲンの一つである、「生きたアニサキスが分泌する熱で壊れるアレルゲン」だけに反応している可能性もあります。そのような場合は加熱している魚に含まれるアレルゲンは食べていいということになります。

アレルギーと診断された場合、現在の検査では生魚がダメなのか、加熱魚はどうなのかは現在の検査体制ではわかりません。あくまでも14種類のミックスされた検査薬との反応があったという事実が分かるだけです。

そもそも、血液検査は補助的な検査で、「大体このあたりのタベモノがアレルギー」と知るための目安のようなものです。

検査によるレベル反応の大小がそのままアレルギー反応の大小(アナフィラキシー?少しかゆい程度?)とは限りません。体に出る症状は個人差があるのでさらにわかりにくく判断ができない理由でもあります。

全ての魚介類を避けるべきアナフィラキシー例「こちら」もありますが、ちょっと赤くなる程度でも魚をすべて食べないほうがいいのかは・・・個人の考え次第でしょうか。

医師個人の知識によるアドバイス。統一見解は無い??

医師は、最悪の場合を考えて、魚は全部食べないように指導しておかないと、何かがあったときに責任が生じるため、予防原則で動きます。

アニサキス食中毒になった知り合い数名に依頼してアレルギー検査を行うと同時に医師に聞いて回った結果、「魚は全部危ないのでダメ」「川魚と養殖魚以外は魚介類はやめましょう」「冷凍していれば食べても大丈夫」等、医師によって様々な指導がありました。

患者側からすると、熱に強いアレルゲンの反応があるかどうかで缶詰やソテーが食べられるか変わるので、さらに細かく検査ができるといいのですが、現状は検査体制が整っておらず、診断された人は何を食べればいいのか非常に困ってしまっているのが現状です。

 

医師が水産の世界の隅々まで知らないのは当然で、安全のために予防原則に基づく判断は正しいのですが、本来魚を食べても問題が無い人まで「食べないほうがいい」と指導されている現状は、歯がゆい思いです。

何しろ、魚介類の出汁含めて全てダメと言われたら食べるものがなくなります。

判断もできず、根拠もなく、不安で困っている人が増えつつあるのが現状です。

過去にアニサキス食中毒になった人にアレルギー検査をしてもらったら・・・

ドンコの肝あえを食べてアニサキス食中毒になった人と、過去に食中毒になった知人2名にアレルギー検査をしてもらったところ、2人ともアニサキスアレルギーと診断されました。このように本人は気づいていなくても、食中毒になった過去を持つ人がアニサキスアレルギーの検査をするとアニサキスアレルギーと診断される場合があります。

かといって上に挙げたように、その後、どうすればいいか判断ができないのが現状です。

知人2名は、結果はともかく普段通りの生活で、普通に魚を食べています。

不必要に心配しすぎず、正しく恐れる事!

ご自分の体と生活です。イメージではなく正しく知ってください。

人によって個人差が大きいため、アナフィラキシーを起こすのか、体が少しかゆくなる程度なのかが大きなポイントですが、心配しすぎるあまり、「魚は食べない!」という生活は大変です。

通常の生活に少しでも近づくためにどのように考えればいいのでしょうか?

 

アニサキスアレルギーでも食べて大丈夫!と考えられる魚とは?

少なくとも「魚は全部食べてはいけない!」は誤りです。その理由は?ということを考えていきます。

不安を煽るのではなく、何がダメなのか、リスクが低い魚は?と考える事が食の安心と生活の質には重要です。

エビカニアレルギーの人が、アサリなどの二枚貝に注意する事は周知されてきていますが、アニサキスアレルギーについてはその情報がなく、研究が進んでいない分野で、さらに個人差があり情報が少なすぎます。

予防原則の重要性もわかりますが、消費者の権利の一つでもあり、表示法では「可能性表示の禁止:入っているかもしれないという表現は、消費者の選択の自由を奪うので法律違反」のような状況で、症状が軽い人にとって、「選択の自由」が無くなるのも困ります。

そのためこのページでは、個人差がある中で、体質と体調をそれぞれが考えて何を食べるか判断するための情報を伝えるために作成しました。

自分の反応 加熱した魚がダメかどうか

アニサキスアレルギーと診断される前後で、缶詰や加熱した魚を食べて症状が出ましたか?

診断後に突然食べられなくなるわけではないので、現実的に前後の食生活を思い返すのが重要です。

アニサキスの生き方から、どこにいるか考える

まずアニサキスの生活を見てみましょう。

「海を漂うアニサキスの卵⇒甲殻類(オキアミ等)⇒中間宿主(サバ、イカ、イワシ等等)→海生哺乳類(イルカやクジラ)⇒海生哺乳類の体内で成体(成虫)となり海中に卵を放出」

アニサキスは海で生活しています。つまり、川魚は・・・海に出ていなければアニサキスが体内にいる可能性は非常に低いでしょう。

ただし、海から戻るシロザケ(秋鮭)は・・・注意が必要。

海草類やプランクトンを食べている貝殻のついた貝類はアニサキスはいないと考えていいでしょう。

アニサキスのリスクが低い魚

少しでもリスクがあるのをすべて避けるような、カンペキを求めると何も食べられなくなりますが、アニサキスがいる魚を避けるために、漁法から考えてみましょう。

食品はどれも何かしらのリスクがありますので、ご自分の体調・体質と相談しながらになりますが・・・

育ち方(漁法)や部位から考える

その魚がどのように育ってきたか、そして部位を考えると、アニサキスアレルギーで魚は全てダメだ!と諦めないですみます。

養殖魚 サーモン、ブリ、カンパチ、タイ、ヒラメ・・・

人口種苗の陸上養殖は安全です。

他の養殖魚もリスクは天然より低いですが、天然の種苗を短期間で太らせる畜養のサバはアニサキスがいる可能性が天然とそこまで変わりません。

天然魚 マグロ等大型の魚で背中側

アニサキスは内臓の近くに多いので、①アニサキス食中毒事例が少ない②体が大きい魚の背中側はねらい目です。

魚種によって判断迷いますので、アニサキスが潜む魚種「こちら」も参考に。

どの魚にも可能性はあるため、無理にとは言いませんが、どうしても食べたい!という場合は、部位で考えるとリスクは減ります。

アニサキス食中毒が多く発生した際に、刺身用に販売される柵が全てカツオの背中側になったお店があったのは、アニサキスがいる可能性が低い部位を選んで刺身用にしたためです。そう考えるとマグロの赤身は内臓から距離があるのでリスクは低いかな・・・です。

同様に、カツオブシも雄節(オブシ:背中側)は雌節(メブシ:お腹側でアニサキスが多い内臓の近く)より安全と考えられます。が。確実ではありません。

年によってカツオに多い年や少ない年もあり、さらに個人差があるため、再現性を考えると難しい問題ではありますが、おおまかにはこのような考え方を持ってみてください。

重度のアレルギーの場合

個人差があるので、ごく微量でもアナフィラキシーショックを生じる場合もある事も覚えておく必要があります。

絶対魚を食べろ!とは言いません。安全安全が最優先ですが、人生の豊かさに食は必要です。

現実的に自分がどこまで許容できるか、体調や体質を考えた上で、美味しく安全に魚を食べてください。

血液検査の先・・・確定検査

血液検査は補助的な検査ですが、最終的に食べていいかどうかは、保険適用可能な「プリックテスト(スクラッチテスト)」と「経口負荷試験」という医師の監督下で実際に食べてみる試験方法があります。

アニサキスアレルギーと診断されたが、生魚を普通に食べていた場合や、魚介出汁まで食べない生活は無理!という方は、生きたアニサキスが出すアレルゲンだけに反応するのではないか?等と考える事ができそうなので、お医者さんと相談のうえで加熱済みの検体で経口負荷試験を医師指導の下で試してみるのも一つの方法かもしれません。

※スクラッチはダイレクトにアレルゲンを体に入れるため、悪化する可能性が高いのではないかという意見もあります。

このあたりは個人差・考え方があるため、専門家と話し合いながら進める必要があります。

 

 

アニサキス情報をまとめたページは「アニサキスに負けない!まとめページ」から!

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