魚介類に使用される薬って何?養殖魚は抗生物質漬け??
魚介類に使われる薬品
「薬品」と聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、車業界で自動運転の技術が進んでいるのと同じように、養殖技術・安全性も日に日に進化しています。
そもそも「抗生物質漬け」等の表現も誰が言い始めたのか(養殖が嫌いな人たち??)わかりません。でも真偽ともかく「心に残る言葉」で消費者の心に深く残り、何かの拍子に噂でさらに広げてしまっているような、とても残念な話題なのです。
提供する人も、食べる人も不愉快で、誰トク?という状態なので、知ることで安全と知ってもらうために紹介します。食卓は安心で楽しくないとつまらないです。
が・・・そもそも養殖にも餌を与えない方法もあります。・・・知らない人は「コチラ!」
主な薬の種類 ソモソモの話。
薬(=動物用医薬品・水産用医薬品)は大きく二つに分かれます。
①予防に使われるワクチン
②治療に使われる薬(抗生物質、抗菌剤、駆虫剤)
ワクチン 感染症などの病気を予防するための薬
抗生物質 他の微生物や菌が育ちにくく(生きにくく)する物質
抗菌剤 抗生物質の一種。菌を育ちにくくする物質
駆虫剤 寄生虫をやっつけたり、排出するための薬(虫下し)
・・・魚や地域によって、いろいろな種類があります。
予防と治療の違い(一般的なイメージの薬とワクチンの違い)
ヒトも風邪薬は風邪の症状を治す「治療」のために使われ、ワクチンは未然に防ぐ「予防」のために使用されます。魚達も同じで、予防に使われるワクチンは薬ですが薬と呼ばれずワクチンと呼ばれることが多いです。
治療に使われる薬は治療で病気になってから使われます。
ワクチンで「予防」する方が「治療」よりも費用対効果が高い(薬が少なくて済む。結局は安くすむ。ラクチン!)ため、病気に対するワクチンがある場合は「予防」することを選ぶ方が賢いと考えられており、現在の主流です。
出荷前に病気になったら・・・治療している間は出荷できない!とか大変です。インフルエンザワクチンと仕事で休めない!と同じ考え方です。
最近の養殖魚は一尾ずつワクチンを打たれてから養殖されていたりします。
傷つけないように水ごとフィッシュポンプで持ち上げて麻酔をして、一尾ずつワクチンを打って戻す。
愛情をこめて丁寧に扱われている様子がわかります。
(大規模なサーモンのワクチンは自動で機械で打ちますが、愛情をこめていないわけではないですよ)
使っていい薬品の種類
2003年から「ポジティブリスト制度」という法律が定められ、消費者の安全が高まりました。
簡単に言うと・・・
①リストに書かれた薬品以外は使ってはいけない。
②リストに書かれた薬品を使う場合は、決められた量以上は食べ物に残らないように出荷何日前までしか使ってはいけない。
③いつワクチンや薬を使ったか記録する
つまり、安全性を高めるためのルールです。
確認のために各企業が出荷前に検査をして体内に薬が残留していないかチェックして安全性を高めていたりします。
2003年よりも前はネガティブリスト制度と呼ばれて、「○○農薬はダメ!」というルールでしたが、そうなると「○○´農薬はダメではない。」と似たような農薬が使われる可能性がありました。
そのため、「○○農薬はイイ!」というポジティブリスト制度になったのです。
このように法律は時代と共に安全に近づきます。
これは野菜でも牛や豚などの家畜でも魚でも同じルールで、海外で作られる食べ物も同じです。
が・・・それを知らずにイメージで「薬や農薬を使っているから危ない!」という人が多いのは、日々の技術やルールの進歩を知る事を妨げてしまって、もったいない気がするのです。
安心して気持ちよく食べても大丈夫です。食卓をポジティブに囲みましょう!
ワクチン開発にはお金が掛かる
コロナ禍で有名になったワクチン。直ぐにできるわけではありません。
養殖魚用のワクチンも同じで、その開発にはたくさんのお金が掛かります。
よって開発されたワクチンにはたくさん買ってもらって使用される大きなマーケットが必要で、養殖魚がいっぱい買われて食べられて養殖の生産量が増えないとワクチンは開発されません。
今は有名な魚しかワクチンがありませんが、人気が出てくると別の魚でもワクチンが開発される日が来るはずです。
食べられるために育てられる魚がかわいそう??
人が育てて食べられるだけの人生(魚生)なんてかわいそう!という気もしますが、それ以上に感謝の気持ちを持って、無駄なく食べて欲しいです!
感謝の気持ちが込められている供養碑・塚については「こちら」!