ノロウイルス 牡蠣(カキ)が原因と決めつけないで! 

ノロウイルスの原因は?

過去10年のノロウイルス食中毒のうち、80-90%は牡蠣以外

今日は牡蠣を食べないから・・と手を洗わないと・・・ケーキで食中毒になる場合もあります。

ノロウイルスがいても匂いも色も見た目は変わらないため、感染ルート不明だけれど集団食中毒につながる事が多いのも特徴です。

犯人は牡蠣と思いこまずに、事実を知ることで食中毒を防げます。

ノロウイルスは、どこにでもおり、つり革などにもいます。一番の対策は手洗いです。

冬に増える理由は?

寒くてトイレを出てから手をしっかり洗わない人が増えるから寒い季節に増加しやすノロウイルス。

トイレ出口で観察するとアレ??手洗っていない??という人が多い! 手を洗え!

そんな無責任な人経由であなたの手にも「ついているかもしれない」と考えて手洗いをしましょう。

ノロウイルスに感染する原因は?

①手洗い不足

トイレ、おう吐物、それらの飛沫などを直接もしくは間接的に触れて感染する場合

手を洗っていない人が触ったつり革などから見つかることもあるので、手洗いが重要です。

②感染した人が調理時や取り分け時に食品を汚染。その食品を食べた場合

 ※お客さんが手を洗わずに食べ物を手でつまんで食べたりすることで、飲食店内にウイルスを持ち込み、机で仲間内で食中毒を発生させる可能性もあります。

 ※学校で手を洗っていない人が配膳した場合も責任は料理を作った人や飲食店になります。冤罪を作り出さないように配膳やお店に入るときは手を洗いましょう。
③ウイルスの蓄積した、加熱不十分な二枚貝等を食べた場合
※カキの体内でノロウイルスが増殖するわけではありません。

二枚貝は体内(中腸腺)にノロウイルスを「濃縮」する性質があります(カキの場合、1個体あたり毎日200~400ℓもの海水を入出し、栄養摂取や呼吸をするため)。

アサリ等も濃縮しますが中腸線を生で食べません。ホタテは中腸腺を除去した貝柱を刺身として、または加熱して食べるので、食中毒の原因として挙げられる事はほとんどありません。

他の貝は中腸線が無い斧足部分を食べるので安心です。

ノロウイルスについて

感染者総数は食中毒患者の半分程度を占めます。

死亡リスクは低いものの、感染性胃腸炎(嘔吐、腹痛、下痢など)を引き起こし、乳幼児や高齢者は脱水、窒息で死亡するリスクがあります。

感染原因の確定は非常に困難ですが、人の腸管のみで増殖します。

国立感染症研究所HPより引用

予防方法

・手洗い(トイレ後、料理前、食事前、外出後)

各自ができる事ですし、飲み会などは注意が必要です。周囲に食事前に手洗っている人どれぐらいいますか?
・調理時・食品への感染を予防

 汚染された手や器具で加熱後の食品に触れた場合も汚染する可能性があるため、調理では十分注意が重要です。
・調理時によく加熱する(85~90度90秒加熱でウイルスが感染力を失う)

2020年に調べたところ、238件のノロウイルス食中毒事件中、加熱調理済みのカキ疑いは1割強で、カキフライが原因と推定されていました。アイスクリームの天ぷらがあるように、フライで熱を通したつもりでも芯まで加熱できておらずに中の菌が死なない場合がある事にも注意です。

同様に、加熱用カキの体内(中腸)にウイルスが存在する場合があるため、表面さえ加熱すれば良いと考えて、加熱用カキで「湯引き」や「あぶり」、「シャブシャブ」の調理をした場合、菌は死にません。カキは表面ではなく体内にウイルスが濃縮されている事に注意が必要です。

消費者側としても、お店で怪しいと感じたら、無理に食べずに残す事も身を守る手段となります。

厚生労働省のデータから読み解くノロウイルスの原因

ノロウイルスの報道では「カキに注意!」と話題になりがちですが、データを元に考えてみました。

厚生労働省が発表している2011年~2017年10月までの食中毒発生件数「食中毒統計資料」を分析したところ、6年半での食中毒発生件数は7,037件。そのうちノロウイルスの全国発生事件数は2,326件。2,326件中「原因に“カキ”と言う言葉が入っている事件数」(推定事例含む)は238件と、ノロウイルス事件数の約10%がカキに疑いが持たれていました。

☆原因の一割がカキ→やっぱりカキが犯人!と感じた方、待って下さい。☆

ノロウイルスが付着した食品は、匂いも色も通常の食品と変わりません。これが、感染原因の大半が不明となっている理由の一つです。
ただ、「ノロウイルス=カキ」という図式が一般人の頭の中にはあるため、診察で「カキを数日中に食べたか?」と質問され(誘導されて)カキが原因と決められた可能性が否定できません。何しろ、それ以外の9割は、カキとは無縁の食品(ケーキとか)か、間接的な汚染が感染経路である可能性が高いという事なのです。

そして・・・殻を掴んでツルンと食べる前に手を洗いましょう。レモンが付いた指を舐めていませんか?つり革を舐めているのと同じ事で・・・自爆している可能性もあります。

最後に

寒い時期になり、冷たい水で手を洗わない人間が増えた事で間接的な感染が増加したという可能性こそ、注意するべきです。カキのみが原因だと思い込んだ場合、「カキを避ければ良い」と考え、9割以上の感染原因(=手洗い不足!)を放置する事につながり、食中毒減少には繋がりません。
ノロウイルスが話題になった際は、予防方法である、「手洗いと調理器具の洗浄」こそ、注意しましょう。

無理に牡蠣を「生食で食べよう!」とは言いません。十分熱を通したカキ鍋等で、タウリン、グリコーゲン、亜鉛などの栄養を取り、新年会シーズンを乗り切りましょう!

生食用と加熱用の違い

少し複雑なので「こちら」で詳しく説明します。

加熱用の方が栄養があると勘違いして自爆しないでください。

その分広がる可能性が高まるので、周囲に迷惑をかけちゃいますよ。

◼︎豆知識:カキの生産量

日本国内の、「むき身カキ」の生産量は約2.8万トン、その内広島が7割を占めます。
冷凍品は広島産が1万トン、韓国からの輸入が0.3万トン

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