スルメイカが獲れない理由。獲り過ぎ?温暖化?クロマグロ?
一昔前は一杯100円で船凍イカ(刺身で食べられる獲ってすぐ船の上で冷凍したイカ)が買えた時代もありましたが、2024年現在、一杯600-1000円程度と相場が上がっています。
不漁の原因は一つではないと考えられています。
海の中のイカ(資源量)が減った
1968年のピーク時に56万トン獲れていたスルメイカ。2022年度は3.7万トンと日本での漁獲量は大幅に減っています。
サンマなどと同様に日本以外の国も獲り始めた事、どれほど獲っているか不明な国があることも資源量が減った原因と考えられています。
温暖化で卵を産む環境・孵化後の稚魚の生きやすさが変わった?
スルメイカは東シナ海から日本海の海底(水深100-500m)で産卵します。
産卵後3-5日でふ化した赤ちゃんは海底から海面に浮上しますが、生き残りやすいのは19.5~23℃と考えられています。
今まで通りの場所で産んでいた場合、海底は温度変化を受けにくいけれど、表層は高温になっていると赤ちゃんが生き残りにくくなります。
今までと異なる場所で産む場合には、適した場所がない可能性もあります。
目に見えない海の中ですが、他の魚が移動している事も考えると、生む場所や育つ環境が温暖化の影響で大きく変化してその影響がイカの資源量に関わっている可能性が考えられています。
スルメイカが耐えられる下限水温は約12℃と言われています。イワシの群れが北海道で仮死状態で打ち上げられるように、寒い水の塊が親イカの産卵前にぶつかる事も影響が出る可能性があります。
獲れる場所や季節がずれた
黒潮大蛇行のように潮の流れが変わることで水温が変わり、従来獲れていた地域で取れなくなった、時期がずれた可能性があります。
旬のはじめ、はしりの時期に昨年比半分以下!と報道されたり、従来水揚げがあった港では獲れずに、他の港で獲れる場合などです。
船・漁師が減った
イカが取れないと儲けが少なくなるのでイカを獲る船を新たに作れず、漁師さんも減ってしまいます。
漁師さんが減るとその分イカの水揚げ量は減ります。
イカ釣り船は近づくとスミが付いているのが見える事も。
2012年には120隻だった大型のイカ釣り船が2023年には44隻に減っています(全国いか釣り漁業凶協会)。
天敵のクロマグロが増えたため!
大間のクロマグロが有名なのはスルメイカのおかげ!
冬に大間のクロマグロが美味しいのは、肝臓が太ったスルメイカをたくさん食べるため。
イカが大好物のクロマグロの資源が回復して数が増えているので、餌であるスルメイカは減ってしまうだろう。という説です。
マグロもイカも食べたい・・・。
イカを取るために何ができる??
漁獲量はイカが水揚げされた量で、海の中のイカの量、漁師さんがイカを狙って働いた時間等によっても変わります。
様々な魚種でも考えられていますが、日本国内はもちろん、各国で話し合いながらとり過ぎないようにすること、そしてイカが増えるための更なる生体の解明が必要です。
イカは一年で生涯を終えるので、長寿命の生物と比較すると、資源量は比較的早く回復する傾向があります。
色々考える事で、美味しいイカを食べ続けられるようにしたいですね。
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