アニサキスの種類と食文化 太平洋側と日本海側

アニサキスの種類

食中毒を起こすアニサキスの仲間は何種類かいます。海はつながっているので境界が無いのも厄介ですが・・・

●アニサキス シンプレックスAnisakis simplex) 

太平洋側に多い。温度が上がって内臓から身に移動する個体は10%ぐらい。

●アニサキス ペグレフィ(Anisakis pegreffii)

日本海側に多い。温度が上がって内臓から身に移動する個体は0.1%ぐらい。

●シュードテラノーバ(Pseudoterranova)

アニサキスではないが、アニサキス食中毒の原因になる。北に多い。ブラックライトで光らない

太平洋側のサバは危険で日本海のサバは安全?

昔からの経験でそのように言われていた面もありますが、最近は昔と比べて、輸送能力や保冷技術が発達したことで、日本海で太平洋のサバが並ぶ場合もあるので、経験等でいわれてきたことを信じると「マサカ!」ということになります。アップデートが必要です。

お店や皆さんの腕にかかっています。

生食文化とアニサキス

アニサキスの性質や種類が知られていない時代から、経験により食文化が発達していました。

「サバの生き腐れ」と呼ばれる一因であるアニサキスは、特に生食文化と密接な関係があります。

北海道の「ルイベ」

鮭(シロザケ:秋鮭)の生食は避けられ、ルイベのように凍らせて保存性と安全性を高めたりチャンチャン焼きのように加熱して食べられてきました。鮭の生食で食中毒が多かったための工夫です。

西日本~博多の「胡麻サバ」

マサバを胡麻と和えて、「ゴマサバ」として生でマサバを食べる地域があります。

日本海側に多いメニューで美味しいです。

アニサキス種による食文化の違い

サバは生食と生食を避ける地域が分かれています。西日本ではマサバをゴマとあえた「胡麻サバ」を生食しますが、関東では生食は避ける傾向があります。これを裏付けるように、「鈴木淳・村田理恵2011の研究」で西日本のサバに含まれるアニサキスと、太平洋側のサバに含まれるアニサキスが別種とわかりました。この研究を抜粋すると・・・・

2種とも魚の死後、常温で内臓から身に移動する個体がいますが、日本海側に多いアニサキスは太平洋側に多いアニサキスと比べて1/100程度しか移動しません。

種類

アニサキス シンプレックス

アニサキス ペグレフィ

最終宿主

ミンククジラ

マイルカ

分布(8割以上)

高知県から青森県の太平洋側

長崎県から石川県の東シナ~日本海

常温で内臓から筋肉へ移動する割合

11.1%

0.1%

平均寄生数/サバ一尾

5.5匹

47匹

※海はつながっているので日本海側に多いアニサキスが太平洋側にもいます。潮の流れや魚の移動によっても状況がかわるため、「いるかもしれない」と考えたほうがよさそうです。

いずれにせよ日本海側のサバを生食で食べる傾向があったのはアニサキスの種類が違って食中毒件数が少なかったためだとわかったのは興味深いです。

クジラやイルカに潜んでいた魚が食べられてしまったことを、アニサキスはわかるのか?

ここからは想像を含みますが、哺乳類である鯨の体温は人間と同じ37度ぐらい。魚の体温は水温とほぼ同じなので、クジラが魚を食べるとアニサキスは周囲の温度変化でわかるのではないでしょうか。

クジラに食べられて、ずっとボーっとしていたら消化もしくは排泄されてしまいます。

アニサキスの種類によって最終宿主の大きさが違うので、温度が上がると移動を始めるアニサキス、移動しにくいアニサキスが存在するという考え方もできそうですね。体が大きいミンククジラだとすぐに移動して住処を確保しないと流されやすいから動きやすい?とか。

アニサキス!「こわい!」ではなくて、「自然の一部」として興味を持ってみてくださいね。

結局どう考えればいいのか?

単純に太平洋側、日本海側という区別だけではなく、魚一尾一尾をさばきながら判断していく必要があるので、最後に大事なのは調理する人の知識と腕です。

寿司や刺身は切って並べるだけのモノではなく、知識と経験で対策・予防をしてきたので、日本の生食文化がここまで発達しました。

魚屋さんやお寿司屋さんがどこを見ているのかがわかれば安心して魚を食べる事につながります!

 

冷凍や加熱でアニサキスが死ぬ!ということも事実ですが、しっかり経験を積んでいけばアニサキスは避けることができます。

プロがどのように考えて刺し身やすしを作っているのか。切るだけではないのです。

魚食文化を守るために腕を上げていただきたい!そのためにも「アニサキスに負けない!まとめページ」をどうぞ!

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