ロシアと関係がある魚介類・水産物・魚
ざっくりとした情報です。状況次第で異なりますので目安でお願いします。
世界はつながっている
世界の国々には、それぞれ得意な穀物や食品、技術があり、得意なものを輸出してそのお金で他の国から別のモノを輸入したりしていて、それぞれの関係は重要です。
ロシアはエネルギーや水産物が得意分野で、水産物が好きな日本はロシアから魚介類を買っています。
しかし、ロシアがウクライナに侵攻した関係で、ロシアの銀行が停められてロシアで獲れる水産物が輸入できなくなったり、ロシア上空を他国の飛行機が飛べなくなることで、魚が日本に飛行機で運べなくなったり・・・・。
ロシアという国でまとめてしまうと規模が大きすぎて今後の見通しが不透明ですが、私たちの食卓にどのような影響が出てくるのか、現在わかっている事をまとめてみました。
漁獲物(獲れる魚たち)や流通経路(飛行機や船)や、流通形態(凍っていたり生鮮だったり)で考えて、持続可能な生活のために何ができるか考えてみましょう!
ロシアで獲れる魚介類はどんな種類?
日本が海外から購入している水産物の9%ぐらい、約1割がロシアから日本に運ばれる魚介類です。
日本国内では北海道で獲れるような、寒い海で獲れる魚介類が多いです。
サケ、タラ、カレイ、ホッケ、カニ、ウニ、ツブガイ等です。
2017年築地市場にて。北海道、青森、ロシア産のウニ。
ロシア産は日本で食べられているうちの、どれぐらいの割合?
タラ・・・スケトウダラ(スケソウダラ) 約半分。
スケトウダラはアメリカとロシアで80-150万トン/年程度と大体同じぐらい漁獲されています。世界全体で見ても大体1:1ぐらいの割合、国内でも約半分がロシア産と考えていいでしょう。
カニ・・・タラバガニは、その名の通りタラが獲れる場所で獲れるカニ(鱈場蟹)です。
鮭・・・・シロザケ、ベニザケ等 天然の鮭の輸入物の半分がロシア産です。
天然鮭は日本でも獲れるので、天然鮭のうちロシア産は日本国内では2-3割です。
鮭の切り身の他に、ベニザケほぐし身はオニギリに入ってますね。
カレイ・・・カラスガレイ ムニエルがオイシイ!骨も少なめで食べやすく脂もたっぷり。
ホッケ・・・シマホッケ
ウニ・・・ロシアからは活ウニを8,000トン輸入しています。トップのチリに次ぐ2位の漁獲量です。日本のウニ漁獲量は約8,000トンなので、ロシア産のウニの方が多いということになります。
輸入じゃないけれど・・ロシアとの交渉が必要なサケ・マス
日本の海で獲れても、生まれがロシアの川の場合は好き勝手に獲ってはいけません。不思議な感じがしますが、国連海洋法条約の原則に従いルールが決まっています。
逆の場合を考えると・・・正しいような気もしますよね。
カラフトマス、ベニザケ、ギンザケ、マスノスケが対象です。4月23日に例年通り交渉が妥結しました。
詳しくは「こちら」
名前が出てこないけれど影響がある水産物
ウニやら魚やらは・・・さばかないし、自分には関係ないかな?と思った人は注意!
さかなの身でなくても副産物として出てくる部位を我々は食べているのです。
エンガワ:カラスガレイのエンガワは回転ずしで大好きな人が多いでしょう。
イクラ、スジコ:鮭の卵です。
カマボコやチクワ:スケトウダラはスリミの原料になります。
タラコ:スケトウダラの卵を塩漬けにしたものです。
メンタイコ:スケトウダラの卵でしか辛子明太子は作れません。
スケトウダラは、アメリカとロシアが同じぐらい漁獲しているので、漁獲の半分が無くなると考えると・・・なかなか厳しい状況です。
さらに、スケトウダラをすり身にした後の残りは細かくして魚粉(ミール)と呼ばれる餌になります。スケトウダラのミールはホワイトミールと呼ばれて匂いが少なくおいしいウナギを養殖するのに欠かせません。
といったように、無駄なく使い切る工夫がされているため、普段の生活では気づかない水産物にも影響が出てくる可能性があります。
ロシア国内の食料確保のためにも突然漁を全てやめるわけにもいかないと思いますが、今までのように自由に購入できない事で、相場は上がることも考えられます(相場について詳しくは「こちら」)。
銀行が停まるとどうなる?
お金がもらえなければ売りません。工場や船で働く人たちも、売れないものは獲らないし作りません。
冷凍して時間を停めれば悪くなりませんが、倉庫に入れておくだけでも電気代などお金がかかります。
いつまで売れないかわからなければ、売れる場所(自分たちの国の中)で食べてしまうことになるでしょう。
最恵国待遇の撤回
貿易相手の優遇措置として関税が上がります。
魚卵とベニザケ 3.5%→5%に。
ズワイガニ 4%→6%に。
数%ですが、消費者に届く時にも関係してきます。
水産物の運ばれ方
大量か少量か、軽いか重いか、値段が高いかどうか等が考えられて何をどのように運ぶか決められます。
ノルウェーのサーモンは、良く冷やして凍らせずに生のまま飛行機で運ばれてくる場合が多く、ノルウェーから飛行機で飛んでくる生サーモンはお刺身用冷凍サーモンの7倍ぐらいの量で、生のまま運ぶ方が価値が高いという判断であることがわかります。
お刺身用のマグロなども飛行機で運ばれたりします。地中海で畜養されたクロマグロ、オーストラリアやニュージーランドのミナミマグロ、アメリカボストンからのクロマグロなど。
カラスガレイのような魚は、飛行機よりも運賃が安い船で冷凍してコンテナで運ばれます。
冷凍された食材は日本の倉庫で2-6か月程度の在庫を残しながら動かすことが多いのですぐには無くなりません。
ロシア上空を飛べないと運べなくなる・・生鮮刺身用の魚!
一方で鮮度が命の生鮮の魚介類は数日で鮮度が落ちるので飛行機で運べないと日本の中で在庫がなくなってしまいます。
ヨーロッパから日本への直通の飛行機があるから運べたのですが、ロシアの上空を飛行機が飛べないと、どこかの飛行場で荷物を積みかえて運ばなくてはいけなくなります。
積み替えでうまく日本まで運べる飛行機便があるのか、積み替えに何時間かかるのか、その手間賃が上がった分を高くして売れるのか等を考える必要があります。
このようなことから、地中海産のマグロ、ノルウェー産サーモンは空輸で運ばれていましたが、運びにくくなりました。
※北極圏を経由する北回り、中央・南アジアや中東を経由する南回りのルートを確保する事で、4月の時点では6-8割ぐらいの供給が戻っています。
どうしたらいいの?
食料がなくなると、人は生きていけません。
そのようにならないように都市の近くには市場(消費市場)があり、国内はもちろん海外から色々な魚介類を集めて食料の安定供給に努めています。
例えば台風がどこかの地域に上陸しても、魚介類は何らかの形で売られています。冷凍だったり養殖だったり、台風の影響がない地域のモノだったり。
今回も、食料がなくならないように市場関係者が他の地域から消費者が困らないように食料を確保して流通させるでしょう。
もしも、今まで見たことが無いような魚を見かけたら、チャレンジするチャンス!と前向きに捉えて食べてみてください。皆さんの食の豊かさにもつながると思います。
食の安全保障?
戦争に限らず、温暖化等の問題も含めて食料をどのように確保していくべきかを考える事が、安全保障につながるという考えもあります。
本当に困ったとき、自分の国は自分たちでしか守れません。
少し難しい話になりますが、自分たちの生活に直結する食料について、「こちら」から少し考えてみてください。
一人一人の選択の結果が特定の地域や会社を元気にします。そんなことを考えながら、気持ちよい食卓をいつまでも囲むために・・・値段だけでなく選んで頂きたいです。