温暖化を防ぐ飛行機燃料??SAF(サフ)って何?
飛行機は便利・・だけど、燃料を多く使う。
飛行機移動は早くて便利で出張やマグロの空輸などに使われていますが、より多くの燃料(化石燃料)を消費するので地球温暖化の原因にもなります「こちら」。
人が生活するうえで必要だけど、なるべく消費量を減らす取り組みとして機体軽量化、飛行経路の短縮、操縦の工夫(急加速しない等)なども行われていますが、やはり、燃料は特に重要な分野なので、取り組みが始まりつつあります。
航空業界としても2030年に燃料の10%をSAFに変える目標を立てています。
SAFとは、温暖化を防ぐ飛行機の燃料!
持続可能な飛行機燃料(Sustainable Aviation Fuel:サステナブル アビエーション フューエル)をSAFと呼びます。
地中などから掘り出された化石燃料を消費するのではなく、既にあるものを飛行機の燃料にしたり、地中から掘り出さずに燃料を作りだせば、カーボンニュートラル状態となり、二酸化炭素がこれ以上増えなくなるのではないか?という考え方です(カーボンオフセット等、よくわからない場合は「こちら」へ)。
SAFの例①食用油の調理済み廃油(UCO:Used Cooking Oil)を利用
給食の油など給食でエネルギー摂取で重要な食用油。何回か揚げ物をするとカリッとおいしい揚げ物ができるので人気ですが、調理後に酸化すると人が食べる事はできなくなります。
2024年現在、調理用油は年間230万トン程度、廃油は約55万トン(工場や外食から45万トン、家庭から10万トン程度)と言われています。
工場などからの廃油は量がまとまっているので現在でも6割強が飼料用に使われていたり、ディーゼルオイルとして再生している場合もありますが、少量ずつ各家庭で固めたり、布や紙に浸み込ませて燃えるゴミにしている分は今後有効活用できそうですね。現在の廃油用途が知りたい場合は「こちら」。
SAFの例②生物由来のバイオマス燃料・バイオマスエタノール・バイオマスガス等の利用
バイオマス(生物)からエタノールやガスなどの燃料を作り出す技術です。
小麦からビール、お米から日本酒を考えるとイメージしやすいでしょうか。
植物に限らず、家畜のウンチ達を利用する事で、メタンなどの燃料を作り出す事ができます「こちら」。
水産系の工場では、カツオやマグロの油からDHAを精製した後の廃油をボイラーの燃料として利用して工場を動かしていました。これは・・バイオマス燃料でもあり、調理済みとも言えます。
いずれにせよ無駄なく使う事が大事ですね。
以上のように、夢のような考え方でもあり、素晴らしい技術が進んでいる感じがしますが、もちろん問題点もあります。
SAFを作り出す事の問題点①調理済み廃油
集めるのが大変です。各家庭で廃油をどのように保管するのか。邪魔!という気持ちが先に出てきそう。
需要が増えるので、廃油が今までより高い値段で取引されるようになります。良くない事のようにも感じますが、廃油が価値あるものとなるため、その分野への研究開発が進み、より環境に良い技術が発明される可能性が高まります。
立地としては少々特殊ですが、沖縄の例では、韓国が廃油を買う姿勢が強まり、前年の3倍の値段になりました「こちら」。燃料が高いので、技術によってディーゼル燃料に変える事ができる国は3倍の値段でも買いたいという事でもあります。
この流れが進むと、それまで肥料にしていた分の油(45万トン×60%=27万トン!)を何に置き換えるか考える必要があります。
いずれにせよ、海外に運ぶことを考えたら、日本でも同じように活用できるのではないか?と考える人も出てくるはずです。
SAFを作り出す事の問題点②バイオエタノール
お米やサトウキビなどなどの食べ物を燃料にすると、その分人が食べる分が少なくなるので供給が減るため食べ物の値段が高くなり、飢餓が深刻化する可能性があります。
絶対量と土地の広さを考えると耕作地も圧倒的に不足するので、バイオエタノールでの代替は無理です。
一方で、人が食べる作物が作れない場所でも育つ植物等を利用する事で、砂漠化を防ぐこともできる等の取り組みも進められています「こちら」。
問題点もありますが、世界全体として効率が良く最適化が進むことで、CO2排出を抑えられるだろうとも考えられています。
国産のSAFが重要な理由
燃料や食料油は海外の物が多く、菜種油などは種の状態で運んできて日本で絞ります。
「こちら」でゴマや菜種を押しつぶしてイメージしてみて下さい。
食用油の6割を占める菜種と大豆は海外から種の状態で年間470万トン輸入しています「こちら」。
470万トンということは、20トン積めるコンテナ20万コンテナ分!
・・・とはいえ、コンテナに出し入れする作業が大変なので、ドライバルク輸送「こちら」で一船で25万トン等のように大量に運んでくるのです。
海外から種を輸入して、絞って、料理に使って、廃油を海外へ輸出して、海外からSAFとして購入するよりは、海外へ輸出せずに日本でSAFに加工した方が効率よさそうです。
ただ先に挙げたように、絞った後の大豆かすも飼料になっているのでこちらも考えないといけません。
皆さんができる事としては、回収が始まった時に皆さんの家からも集められるように手間を惜しまない事も大事です。
学校で回収すると、給食用の油と一緒に集めやすくなるだろうか??こぼした場合の掃除が大変かな??等々、今後考えられていくハズです。
SAFはどうなっていく??合成燃料(e-fuel)?
今は、原油を掘って二酸化炭素を排出したり、限りある穀物や廃油が少しもったいない使い方になっている例もありますが、より良い生活のために色々と考えられています。
さらに明るい未来として、技術革新が望まれています。
一例として、将来的にSAFは、大気中から直接分離する「二酸化炭素:C」と、風力発電などの再生可能エネルギーで水から電気分解した「水素:H」を合成した「人工的な原油」が半分程度を占めるようになるとも考えられています。
日本は燃料を海外からの輸入に頼っていますが、技術が進めば燃料も国産で置き換えられるかもしれない。
世界で6位の広い海もある国で、食べるには困らなくなるのではないか?
そのためにも田んぼや畑の維持、漁港を維持しておくことは大事なので、応援したい地域・国のものを買って応援してくださいね!