アニサキス食中毒による 営業停止問題

消費者にとって、営業停止はどんな影響があるのか?

営業停止が増えると、天然魚、鮮魚の刺身は減少する傾向があります。

養殖魚、冷凍魚の割合が増えます。お店も注意をしていますが、なかなか厄介です。

魚を食べて欲しい!と仕事にしている私も、イチ消費者です。

イチ消費者の立場として、旬の感じられる魚介類が食べられる文化は残したい。

そうでないと・・・こんな太刀魚の刺身がお店で見れなくなる日が来るのではないかと心配しているのです。

太刀魚は深海魚なので、養殖できません。

ただ、天然魚しか刺身にならないので、アニサキスが絶対いない!とは言い切れないのです。

「絶対いないんだな?」と問い詰める消費者がいたりすると、天然魚の刺身を一切置けなくなりますし、お店としては、営業停止になるよりは、提供を無くす判断が増えてしまいます。

消費者の自由の一つ「選択の自由」がどんどん狭まってしまいます。

冷凍と養殖以外の魚は提供しないようにすると、タイ、ブリ、サーモン、マグロ・・・ぐらいの寂しい品ぞろえになってしまいます。

日本の養殖魚はブリ、タイ、カンパチ、クロマグロのたった4種で養殖魚全体の9割近くを占めるのですから・・・。

カンペキな食べ物を求めて、美味しい天然魚を締め出すのが正義なのか、リスクを天秤にかけて消費者が選べる現在の状況を保つのがいいのか・・・

一人一人の考え方にかかっています。

アニサキス食中毒とは?

アニサキスが体内(胃壁等)と接触した際のアレルギー反応で痛みが出る症状です。

なんだかお腹が痛い。・・サバを食べたけれど・・・という場合は「アニサキス食中毒の疑い」で確定はされておらず、アニサキス食中毒が疑われて、胃カメラで人間の胃からアニサキスの虫体が摘出されて初めてアニサキス食中毒が確定します。

胃の痛みに追加して胃カメラを90cm飲み、疲れ果てたあなたは、原因となった魚を提供した飲食店やスーパーへの怒りが頂点に達しているでしょう。

ただ、そのお店の前に、以前に別の場所で一度痛みが無い状態でアニサキスに刺されている可能性が高いのです・・・「こちら」

アニサキス食中毒による営業停止

営業停止の判断は日本全国600近い保健所が行っており、県が一つのまとまりとなり地域毎に判断基準が異なります。

アニサキス食中毒が確定した場合、1~3日の営業停止になる場合、停止にならない場合もあります。

原因となったお店が複数にまたがる場合は、特定できずに全てのお店が営業停止にならない場合もありますし、3店のうち2店が提供した刺身が冷凍魚だった場合は生鮮で提供した残りの1店に確定するという判断をする場合もあります。

「クドアによる営業停止」問題では、クドア食中毒も冷凍や加熱で防ぐことができますが、小さくて目視では見れないこともあり、厚生労働省から営業停止不要という通達が出ています。ただし保健所によっては営業停止処分にしている地域もあります。

「アニサキスも赤身では目視不可なので、クドアと同じでは?」「丸魚やサクで販売したら店の責任は無くなるのでは?」という意見も聞かれますが、保健所によっては「丸魚やサクで販売しても営業停止対象になる場合がある」という回答もありました。

消費者にとって営業停止はイイコト?ワルイコト?

一件、安全性からは営業停止はイイコトのように見えます。

が、営業停止による売り上げ減少や、消費者からの見られ方を恐れて、よりリスクの低い養殖魚や冷凍魚のみ扱うお店も増えており、消費者の「選択の自由」は確実に狭まっています。その結果、日本全国の傾向として冷凍された魚や養殖された魚しか扱わない(扱えない)お店が増えています。

また、数年前まで「刺身用」として売られていた、昔と変わらない鮮度の丸魚も「加熱用」として売られているお店が増えました。

刺身用と紹介して家でさばいて食中毒になった場合、お店が営業停止になる可能性があるためです。

お店で「お刺身にできる?」と聞いても、答えた結果が食中毒につながるのであればと、答えてくれないお店が増えました。「アニサキス食中毒を考えなければ、刺身で食べられる鮮度だよ」という返答ならお店の責任にならないでしょうが、初めて刺身に挑戦したい人にはわかりにくい説明で、魚をさばける人が増えにくい環境になってきています。

アニサキス営業停止を防ぐ方法

冗談とくだらない会話から出てきた話題も含みますが・・・

こうでもしないと水産業と生食文化が守られないという話の裏返しでもあります。

あなたは・・・どんな食文化を守りたいですか?

・魚の生食をやめる

⇒食中毒を絶対に防ぎたい立場であれば、寿司も刺身も食べないという方法もあります。冷凍しか許可しない国もあります。

・自分でさばけるようになり、刺身を作れる腕を磨く。

⇒個人の手間はかかりますが、各自の判断になり、お店の営業停止にはなりません。

丸魚で刺身用というのは、刺身用の鮮度という意味です。何も考えず切って盛って食べちゃダメです!

・刺身の盛り付けを「加熱用」として販売。消費者の判断にお任せ!

⇒これは、表示としては正しい形ですが、勘違いを生じやすくなり、きっと怒られますね。

・アニサキス疑いで終わらせる

⇒仲がいいお店が原因の場合は、病院に行かずに黙っているという例は港町等でよく聞きます。また、医療機関に「どの店で食べたの?」と聞かれて、「覚えていない」と答えても処置はしてもらえます。

・病院に行かない

⇒正露丸等で痛みの原因となっているアニサキスと胃壁との接触を無くして痛みを緩和させて胃カメラでの特定をせず、アニサキス疑いで終わらせる方法です。

・アニサキスアレルギーは食物アレルギーの範疇とする

⇒そばアレルギーで営業停止にはなりません。それと同様にする考えにならないものか・・・。

アニサキスとの付き合い方

アニサキスは魚をさばく人にとっては毎日出会う生き物です。

お店では、営業停止が怖くて美味しい魚を店頭に出せず、本当に困っています。

魚がさばける人だけが鮮魚の刺身を食べるだけでは、生食文化も先細りになってしまいそうです。

売れずに魚価が下がれば漁師さんもさらに少なくなってしまいます。

消費者の考え方の変化も重要です。

海外と比較しても、多種多様な刺身が数百円で食べられる、現在の環境は・・・非常に恵まれています。

「アニサキスに負けない!まとめ」から小一時間で吸収して、生食文化を後世に残しましょう!

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