クロマグロ漁獲枠拡大に期待?? クロマグロが安く買える?? 

過去70年でマグロの漁獲量は激増!

ヒトの技術が発達して、魚が増えるスピードより多く魚を獲れるようになった現代。

マグロ類(クロマグロ、ミナミマグロ、ビンナガ、メバチ、キハダマグロ)の漁獲量は1950年に25万トンだった2019年には225万トンが漁獲されています(カツオを入れると70年で40万トンが570万トンへと増加。詳しくは「こちら」)。

人が利用する魚資源が約10倍となり、喜ばしい一面もあれば、獲りすぎていないかも重要です。

増えた分の魚だけ取れば、永久に利用できる魚資源も、その年増えた以上に魚を獲ってしまうと、海全体で減り続けてしまいます。

特にマグロの中でも数が少ないクロマグロはお刺し身でも人気なため、獲りたい!と考える人も多く、少なくなったと考えられていました。

減ったクロマグロを増やすためには、増えた分より少ない量を獲るどのようなルール作りが必要なのでしょうか?

クロマグロは、減った?増えた!

陸と違って壁も網も無い海を泳ぎ回るマグロは国際的な資源です。

世界中を泳ぎ回るマグロを守りながら獲るために、他の国と相談しながら獲る量を決めなくてはならず、各国で相談しながら進めてきました。

関係者の努力の結果、2010年に減少傾向が底を打ち、徐々に回復した事がわかっていました。

その効果が出てきたので、そろそろ獲る量を増やしても良いだろうと国際会議で決まったのが2024年の12月。

重量や数だけではなく、どの年齢のマグロを守れば増えやすいかがわかったのは、研究の成果なのです。

小さい魚(3歳以下:30Kg以下、100cm以下ぐらい)をあまり獲らないことで増えた!

スピードで敵から逃げ切る戦略のクロマグロは、ある程度大きくなると、サメ等に滅多に食べられなくなり、海でドンドン大きくなります。

ある程度まで大きくなると、体重は増えずに産卵等にエネルギーを使うようになるので大きくなりません。

そう考えていくと・・・小さめの3歳以下の子たちを1トン獲らない場合、5年後に12トンになり、大型のマグロを1トンを獲らないと5年後には、0.66トンになります(0才から3才で個体数は1/3に減り、体重合計は20倍になる。3才から6才で個体数は半分に減り、体重は2.6倍等の調査結果から。詳しくは「こちら」)。

大きなマグロは卵を産むので、大きなマグロはすべて獲っていい!というわけではありませんが、小さい子が大きくなってから獲るようにすると、結果的に大きなマグロが増えるので、大きなマグロも守れることにつながり、マグロ全体の数は増える事になります。そうか!大きなマグロは卵も産み、さらに増える!等々頭で考えるのは単純ですが、せっかく見つけたマグロの群れが小さめなので見逃す、小さいマグロが多いので網の中から逃がす等の作業は、時間も手間もかかります。生活も苦しくなります。

ただ、将来大型マグロの群れを狙えるようになる!5年後に12倍獲れる!等と考えて手間をかけながら漁業者や国が努力を続けていたのです。

市場が買わない宣言!釣りする人もお願い!

消費者には嬉しい?クロマグロの値段は下がるの??

クロマグロ資源が復活して喜ばしいのは当然ながら、今後クロマグロを含めた魚介類の値段はどのように変化していくのでしょうか?

単純に考えると、獲っていい量が増えるので、今まで通りの量しか食べないとクロマグロが余って、値下がりする形になるハズです。消費者としては嬉しい値下げ情報。

ただ、安くなったら漁業者が生活続けられるのか?も考える必要があります。

漁師さんにとってみれば、我慢して魚を増やした結果、値段が下がっても獲れる量が増えれば、今まで以上に売れることで手取りは増えるかもしれませんが、燃油代は上昇の一方で、人件費も上昇の一方。実際のところ、お金を出しても船に乗る人が集まらないのが現状です。

結果として、廃業してしまう漁師さんが多くなると、マグロが海にいても獲る人がいないので、マグロを食べられなくなり、結局消費者が困る事になります。

漁師さんが生き残れて、消費者も納得できる公平な値段が望ましいという事です。

海外のお金持ちに気づかれる??

公平な値段は相場によって決まります。売れる量と欲しい人の数の関係です。

現在、「買い負け」と言って、日本が海外勢に負けて買えない状態もありますが、それは海外の水産物に限りません。

おいしいマグロの価値に気づいた海外の人たちが食べ始めると、日本より高値で買ってくれる海外にマグロが流れ、日本で獲れたマグロを日本で食べられないという事にもなりかねません。

既にウニなどはそのような事態になっていますが、海外では平均給与が10年で3倍以上になった国もあります。

飛行機も冷凍技術も発達しているので、海外から空輸で運ばれているクロマグロたちが、日本に運ばれずに他の国に飛んで行ってしまう将来も近いかもしれません。

それを避けるためには、正当な価格で我々が食べ続ける事も大事なのです。

テレビ局さん達も興味津々!

マグロにまつわる質問にお応えしていますが、色々な要素が関係するので、難しいのも事実です。

一消費者としては値下げは嬉しいものの、エビやイカの相場が世界的に上昇したり、為替や燃料代が上昇している事、人が集まらないで困っている話を聞いていると、食べ支えないと!と感じるのも事実ななのです。

知名度が低い事が理由でお得な状態になるため、皆が知れば相場は上がります。

永久にお得なものは、自分が手間をかけたりしないと手に入らない!という事も考えたほうがいいかもしれません。

2024年12月 テレビ朝日さん

クロマグロが増えた証拠の一つとして、水産庁調査船が産卵シーンを撮影!という情報を提供。全国放送してもらえました。

2024年7月 TBS系列のMBSさんからの質問

「こちら」 動画もどうぞ。

完全養殖のクロマグロはコストが高すぎる!撤退企業相次ぐ!

養殖には、途中から人が太らせる「畜養」と、最初から最後まで人が育てる「完全養殖」があります「こちら」

養殖する人件費やエサ代が値段に反映されるので、畜養よりも長期間、人が手をかける完全養殖の方がコストがかかり高くなりがちです。

ただ、お値段が高くなっても、クロマグロが貴重であれば、商売として続けることができますが、漁獲枠が増大したことで、マルハニチロ㈱は2025年の完全養殖マグロを8割減産する事になりました。

ニッスイ、極洋はクロマグロの完全養殖からは撤退しています。

長期間育てる事で、台風や赤潮などの被害を受ける可能性も高まる事も縮小や撤退する理由の一つです。

畜養に切り替える事でいけすなどは使えますが、天然クロマグロが多く獲れる事で仕事が無くなったり少なくなってしまう仕事もあります。

皆がハッピーとはいかないのが難しいところです。

マグロを食べ続けるため

皆さんが応援して買い支えるものが、皆さんの生活の中で生き続ける事になります。

値段ばかりで選んでいると、いいものはお金を出す人・国に運ばれていってしまいます。

それはさみしいので、マグロを食べ続けるためにも、手に取って食べてください。

おススメは・・・クロマグロよりもなじみのないミナミマグロ(インドマグロ)。

クロマグロよりも少し値段が安いぐらいですが、それは知名度のなせる値段。食べてみたらミナミが一番好きになった!という人もいます。

まずは全種類食べてみて、ツナ缶用にもなるサッパリ型のマグロと、ほぼ刺身専用のクロとミナミの差を実感してみてはいかがでしょう??

水産の世界は、美味しさを知ってしまうと引き返せなくなるのが怖くもあり、楽しいところです。

身近なお店で購入できるマグロはそれを実感しやすい種類です。

水産の世界へいらっしゃい!

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