生食してよい、お肉・魚とは?加熱した肉の赤い血は食べて大丈夫?
どの動物が生食できる?生食の危険性と安全性
魚はお刺し身で食べられるイメージがありますが、牛、豚、鶏はどうでしょうか?
動物の種類によって、なぜ、生食していい肉とダメな肉がある理由をそれぞれ考える事で安全な食卓になります。
年齢や体調そして妊婦さんは要注意など、食べるヒトの状態も考える必要がありますし、国によって食べてはいけない生卵の例も覚えておくと安心です。
「新鮮≒安全」ではありません。すべての個体が食中毒の原因を持っていなくても、危険度によって安全を考えて対策を考えるのも必要です。
安全を考えすぎると全て生食禁止になってしまい、それもさみしいです。
一人一人が食中毒を予防する事も食文化を残すことにつながります。
共通の考え方
食中毒の原因は、主に3種類(菌、ウイルス、寄生虫)です。
汚染を防ぐために動物毎に生食用の解体・管理方法・基準が異なります。
あくまでも生食用の肉としての説明なので、加熱用を生食用として食べる事は絶対に避けてくださいね。
①肉の表面に付着した菌やウイルス
元々動物が持っていて、解体するときに付着する菌(牛レバーのO-157等)、調理する人が手洗い不足などでつけてしまうノロウイルスや、手のケガから増えて毒素を作る黄色ブドウ球菌、未加熱の肉を掴んだお箸やトングで加熱済みの焼き肉を取り皿にとるなども食中毒につながります。
鮮度が良いと表面についているだけですが、時間と共に内部にも菌が入り込んでいくようなので、表面だけを加熱すればいいとも限りません。
※細菌は冷凍しても死にません。
②もともと動物が持っている菌やウイルス
鳥はサルモネラやカンピロバクターなどの菌を持っている場合があります。
豚は体内にE型肝炎ウイルスを持っている場合があり、しっかり加熱する必要があります。
肝炎は肝臓の炎症で、血液などにウイルスが含まれるので、豚肉はしっかり熱を通す必要があります。
※ウイルスは冷凍しても死にません。
③体内にいる寄生虫
魚で言うアニサキスや、妊婦さんは特に注意!というトキソプラズマも寄生虫。
※寄生虫は冷凍すれば全て死にます。
細菌やウイルスが冷凍すれば死ねばいいのに、残念ながら死にません。
そのため加熱する事で安全に食べられる事を考えます。
牛:牛サシ・牛ユッケ・牛タタキ・レアステーキ!
生食用の牛肉は、肉の塊の表面を1センチ以上60℃で2分以上加熱した内部等と定められています。
表面はサルモネラ菌、腸管出血性大腸菌に注意が必要ですが、牛肉の内側に食中毒に関わるウイルスや寄生虫がいないため、生食可能です。
※この娘は乳牛です。
昔から牛肉のステーキはレアで内側から赤い血が滴ったとしても食べても大丈夫というのは上記の理由からです(厳密には、条件異なりますが・・・個人の判断で)。
※ひき肉のハンバーグは、外側に着いた菌が内側に練り込まれているかもしれないので、しっかり加熱が基本です。
※牛のレバ刺しも現在はNGです。腸管出血性大腸菌が付着している可能性があるためです。
どうしてもレバ刺しを食べたい!という方は、代替案として「モウカノホシ」がおススメです。
馬:馬刺し!
基準に沿ってさばかれた後に、流通段階で冷凍する事で安全に食べる事ができます。
冷凍する事で寄生虫(ザルコシスティス フェアリー)を死滅させています。
家等でお手軽にスライスするだけで馬刺しが楽しめます。
豚肉
生食NGです。とんかつの生焼けもNGです。しっかり加熱しましょう!
生肉はE型肝炎ウイルスの他、サルモネラ、カンピロバクターなどの細菌による食中毒の可能性があります。
鶏肉
鳥刺しは、明確なルールが決まっていないようですが、食べられるお店はあります。
一般家庭では、カンピロバクターなどの細菌による食中毒の可能性があるので、しっかり熱を通しましょう。皮がパリッとした胸肉など美味しいですね。
「信用できるお店で食べる」に尽きるので、生だと血液に毒があるアナゴ↓に似ています「こちら」。
アナゴの刺身を親友と食べた翌日・・・二人とも謎の熱が出ました・・・・。
玉子:鶏卵
日本では生食が常識の卵。・・・世界の常識ではありえない、ゲテモノ食いの部類です。
理由は生卵がサルモネラ菌に汚染されている可能性が高いため。
日本では、飼育時にサルモネラに感染しないように注意されている事、産卵後に洗浄・殺菌して流通する事、賞味期限は生食を前提とした2週間としているためTKG(たまごかけごはん)が大好きな人も多いでしょう。
海外でタマゴかけごはんは・・・やめましょう。
ジビエ(イノシシ・シカ・クマ・・・・)
管理がされていないジビエはどのような菌・ウイルスを持っているか不明です。
そのため、E型肝炎などの可能性があるため生食はNGで加熱が基本です。
豚はイノシシを家畜化したと考えれば、イノシシも豚も近いかな等わかりますね。
一般に流通させる場合は衛生的な場所で解体する必要があるなど取り決めがあります。
魚
さかな由来の主な菌は、海水の腸炎ビブリオ、内臓のヒスタミン生成菌です。
内臓を素早く除去後に水道水で流すことで生食用の刺身として細菌対策はOKです。
もちろんしっかり冷やして細菌が増えないようにする事も忘れずに。
さばき方はハサミなどでお手軽に「こちら」。
寄生虫はしっかりと見て取り除くか、冷凍が必要です「こちら」。
牡蠣
生食用と加熱用は見た目は変わりませんが管理方法が異なります。
しっかり理解すれば、加熱用の方が鮮度がいいから生食が美味しい!等の自殺行為は無くなるでしょう。「こちら」
クジラ
余りにも大きすぎるので、大半は冷凍されているクジラ。加熱せずにお刺し身で食べる事も多いです。
血が多いので解凍しているうちに真っ赤に見える事もありますが、問題はありません。
学校給食の竜田揚げなどは、大きなブロックを加工場で切り分けて、味を付けて粉を付けて冷凍しています。
漬け込み時間にもよりますが、基本的には肉内部には菌がいないため、外側がしっかり加熱されていれば、内部まで汚染は広がっていないと考えられ、食中毒になることはありません。
クジラの食中毒で一昔前にサルモネラ食中毒の記録がありますが、死亡漂着個体(寄り鯨)を生食したことによるものが大半です。ちょっとびっくりですが、昔から寄り鯨として海の恵みを食べていた名残です。現在はそのような個体は市場に流通しないような仕組みになっているのでご安心を!
↓最近は骨格標本にしよう!等の話が多いですね。
他にも流れつく様々な生き物は「こちら」