ウナギを絶滅から守るには?獲らずに食べなければ増える!とは限らない??
ウナギが減っている理由
土用の丑の日によく見かけるウナギ。
ヒツマブシも、かば焼きもうな丼も美味しいですよね。
おいしいからこそ獲りすぎ(食べすぎ)で絶滅しそう!と言われているウナギ。
絶滅危惧種でもあるウナギをこれからも食べ続けるためにどうすればいいのでしょうか?
じつは「獲りすぎだから減っている。食べなければイイノダ!」と考えていると、他の減る理由に気づかないままウナギがいなくなるかもしれません。なので、ウナギが減った他の理由もしっかり考えてほしいのです。
①住む場所が無い
ウナギは砂利に潜って生活しています。
体がヌルヌルしているのは色々潜り込むときに怪我をしないように。
しかし、ヒトが川を護岸して水を流しやすくすると、砂利がなくなります。
隠れる場所がないと、鳥などに食べられて生き残りにくくなります?。
※「石倉カゴ」を設置してウナギの住処やうなぎの餌の隠れ家を作っている地域もあります。
②餌がない=ウナギの大好物はミミズ!
雨が降ると道路に出てくるミミズ。
ウナギの大好物は・・・川にも落ちるミミズ!神戸大学の研究は「こちら!」
洪水にならないように川岸を護岸するとミミズが落ちてこなくなるので、成長に時間がかかります。
栄養が足りなくなったり、成長に時間がかかるということは、大きくなるまでに天敵に食べられる可能性も高まります。
⇒というわけでウナギのために護岸をなくしましょう!・・・と言える人は、なかなかいないですよね。
ワタシは、ウナギと人の生活なら、人の生活の方が大切だと思いますし・・・
③温暖化で潮の流れが変わった・・・川にたどり着けない・・・
潮の流れが変わって、シラスウナギ(赤ちゃんウナギ)が今まで流れ着いていた場所に、たどり着けずに死んでしまったり、違う場所に到着して生き残りにくくなったりする年もあります。
・農薬??
一説には農薬が影響しているのではないかという話があり、調査中です。
ウナギを守る技術への期待
というわけで、人の生活もウナギを守るための完全養殖への期待が高まっています。(完全養殖とは「こちら」から)
現在ウナギは、小さいウナギ(シラスウナギ)を捕まえて、大きくする「畜養」で食べるサイズまで育ていますが、親ウナギが生んだ卵から育てる完全養殖にすることで、天然のシラスウナギ資源に影響を与えずに人が食べる事につながるのです!
やった!スバラシイ!と思いますが、まだまだ課題も。
ウナギの養殖が難しい理由
・つい最近までウナギがどこで生まれているか、わからなかった!
日本から3000Km離れたマリアナ海溝で卵を産むことが2009年に発見されました。
・死にやすい「仔魚」の時期が長い!
魚は、卵⇒仔魚(シギョ)⇒稚魚(チギョ)の順に大きくなります。
ほとんどの魚は仔魚時代が1か月以内ですが・・・
ウナギの仔魚時代の期間は・・・天然で100-160日、養殖では150-400日(平均250日)。
仔魚のレプトセファルス時代に長い時間、海を漂いながら過ごす生き方が関係しているようです。
仔魚の生き残る確率もどんどん上がっていますが道のりはまだ長いようです。
・日本で養殖されている数がとてつもない数!
2021年現在、日本の養殖場で育てられるシラスウナギは(池入れ数量)は21.7トン。
一匹のシラスウナギが0.2g程度なので、一億匹!
クロマグロやタイなどの他の養殖魚では考えられないほどの稚魚が必要です。
卵⇒大人⇒卵の完全養殖技術は確立しているものの、仔魚時代に死なずに稚魚にする技術と知見を積み重ねているところなので、期待してお待ちください!
ウナギは食べていい?
クロマグロも完全養殖技術が確立してから身近な魚になりました。
美味しいウナギも同様に、人間の知恵を利用しながら心配せずに食べられるようになるように、研究者も水産関係者も頑張っているところです。どんどん食べて!とは言いにくい状態ですが、期待しながらお待ちください!
ウナギの背開き腹開き、そして蒲焼と白焼きの違いは「こちら」から!