ボラ大量死?大量発生?ボラにまつわるアレヤコレヤ・・・。
人目に付きやすく・・・カラスミで有名な「ボラ」
河口や内湾等の汽水域(塩水と淡水が混ざる場所)で暮らしていて、エサは水の底にたまった泥や底に付いた藻類です。
藻類が生えやすい、光が差し込む浅い川に押し寄せたボラの姿を上から見ると、ボラがびっしりと大群で泳いでいるのが見られ、大発生!とニュースになる事も。
海の中であれば大群でも気づかれませんが、人の生活に近い川だと人目に付きやすく「大群で押し寄せた!」等とニュースになったりします。
桜の開花前等によく現象で、見たことが無い人にとっては驚きの減少。
そのため地震の前触れ?とか環境汚染?とか毒??等と勘違いする場合もありますが、ちょっと待って!物事には必ず理由があるのです。
ボラの生活
①3月中旬東京湾
10cmぐらいのボラが群れでゆっくりと泳いでいました。光が当たっていない部分にもいるので、よく見てください。この一枚に1000匹は写っています。
②10月大田区呑川
③3月下旬 千葉県三番瀬の浅瀬
100匹単位の群れが見えて5歳の息子が獲りたい!と言っていたので、網で捕まえました。
2cm強。肌が弱く、ほとんどがすぐに死んでしまいましたが、5匹は一週間程度生きていました。
命を無駄にしないように、唐揚げで食べたところ・・うまい!
大人のボラは刺身も美味しいけれど、今度は稚魚も積極的に獲るべきか・・・。悩みます
ボラの大量死 その原因は?
人目に付きやすい川にいる事と、「大量に死ぬ=毒」というイメージがあるのか、これもニュースになります。原因は・・・ざっくり3つぐらいでしょうか。
①酸欠になる
泥や藻を食べている場所で、突然暖かくなると・・・水の底にたまった泥の中で動物性プランクトンなどが活発になり酸素を多く使います。すると、水中の酸素が無くなり酸欠でボラが死んでしまう場合があります。
ホント?と思ったら、大量死ニュースの前に気温がググっと上がっていないかチェック!
ゆっくり気温が上がると「こりゃ苦しい・・・」と移動できるボラも、突然の温度変化による酸欠にやられてしまうのです。海と違って浅い川だと深い場所に逃げるワケにもいかず・・・。
②エラが詰まる
雨などで川の底の水が混ぜ返され、酸素が消費されて酸欠する他に、エラに泥などが詰まって呼吸ができなくなり死んでしまう場合があります。
海なら深さがあるのでエラが詰まるような濁りからは逃げられますが・・・川の特徴ですね。
(海の魚の場合はクラゲが増えすぎてエラに詰まって死んでしまう例もあります。)
※汽水域で生きる魚なので、塩分濃度が急激に変わっても対応できるのもボラの特徴。
③潮が引いて取り残された
汽水域は潮の満ち引きの影響を受けます。潮が満ちている間に餌を食べようと川に入って抜け出せずに潮が引いてしまうと・・・。死んでしまう場合も。
ホント?ニュースから考えてみよう!
2022年の3月6日には東京都の大田区で1000匹以上のボラが、3月8日に大阪で7500匹のボラが死んでいるのが発見された例は、全国的に一気に暖かくなったので①が原因ではないかなと考えられます。
「こちら」で東京都環境局が行った検査結果で異常が無かった事も確認できます。
ボラは死ぬ前に水面でパクパク呼吸をしていたと思われますが、その時は背中側の黒い部分しか見えず目立ちません。死ぬと白いお腹が見えるので大量に死んでから人が異変に気付くと言えるでしょう。
2022年7月4日静岡県浜松市の川でボラの幼魚とみられる魚を中心に一万匹以上の魚が死んでいた。水質検査では目立った濁りや異臭は無かった。
→7月頭に急に暑くなりました。急激な温度変化による酸欠かなと考えられます。
大量死がかわいそう!
かわいそうですが、それでも長い時間をかけて進化し続けたボラにとっては、汽水域での生活が種類全体としては生き残りやすいのです。護岸の影響は多少あるかもしれませんが、潮の満ち引きで魚やエイが取り残されるのは自然状態の海でも見る事ができますし、青潮等で魚が酸欠で死んでしまう事もあります。敏感に察知して逃げたり、適応した子孫が生き残っていくのです。厳しい自然界の一例として理解してもいいでしょう。
死んでしまった魚は、人が取り除かない限り、鳥が食べに来たり水に流されて海に流れて他の魚に食べられたりします。そうでなくても徐々に分解されて、他の生物の命を繋ぐことになります。
山も川も海もつながっていて、栄養が循環しているので、「かわいそう」のその先を考えながら、自然の中で季節の訪れを感じてはいかがでしょうか。
ボラはオイシイ!
私もボラの刺身が好きですが、知り合いの漁師さんも、ボラが船に飛び込んできたら「夕飯決定!」首をボキっと折って氷につけるそうです。
市場でも1Kgサイズが売られていました。
豊洲産ボラ 夕飯決定!の瞬間。
お刺し身。皮を炙ってそのままか、引くかで、印象が変わります。
「サメを食べないのは時代遅れ!(江戸時代ぐらい)」でも紹介していますが、イメージや噂で「クサイ?」と考えないで、自分で確認してみてくださいね。
カラスミだけで満足してたら持ったいない!
メスのカラスミだけじゃない!オスは白子もあるぞ!
タラなどと同じ。湯通しでポン酢!カラスミは卵なのでメス、白子はオスにあります。
ここも見て!藻を食べる優しそうな口!
ハート形の口もボラのカワイイポイントです。触ってみても痛くない歯です。
魚がさばけない!なんてめげずに、「魚をさばく!」で裏ワザを使いながら、どんな魚でもさばけるようになって頂き鯛!
魚介類の大量死・打ち上げ
他にもいろいろある大量死・打ち上げ。心配せずに大丈夫なので、なるほど!と思っていただければ。